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編集長のズボラ料理(368) ザーサイ入りナムル

白だしの代わりに、だしの素でもいい

 友人に文化センターの韓国料理の先生がいる。在日韓国人二世で、教室は自宅を使っている。
 先生の自宅を訪ねることがあるが、行く日は決まっている。教室で新しい生徒を募集する時だ。
 次回のコースの料理をいくつか作り、それを文化センターの担当者が写真に撮って、生徒募集のパンフレットの載せる。その日が狙い目である。
 友人と示し合わせて、手伝いに行くと申し出る。韓国料理など作れるはずがないから、それはポーズだけ。手伝うふりをして、写真を撮り終わるまで、ひたすら時間がたつのを待つ。
 写真撮影がすめば、いよいよ僕らの出番となる。飲み物は持参している。料理は残っても困るだろうから、ガバガバ食べる。
 飲みながら話していると、先生は思い切ったことを言う。「韓国料理よりも、日本料理の方が好き」
 和食大好きな僕ならいいが、韓国料理の先生だと、これはアカンやろ。そう思ったが、年末にはおせち料理を作るのが好きだという。それだけでなく、生徒の分まで注文を聞いて作るようになった。何料理の先生なのか、わからないではないか。
 そんな先生だが、「なるほど」と思わせるものもある。モヤシナムルを作る時だ。当たり前のことではあるが、モヤシの根を丁寧に取っている。僕もやることがあり、これは結構時間がかあkる。
 豆モヤシの場合はまだいい。スーパーには根を切ったものがあるから、そのまま使える。
 普通のモヤシはそうではないので、手で1本1本の根を切り取る。左手でモヤシを持ち、右手で根を折って切り取り、シンクの三角コーナーに捨てる。左手のモヤシはざるに移す。
 面倒くさいのだが、次第にリズム感が出る、調子に乗って、さらにスピードを上げる。すると、左手のものを捨て、右手の根をざるに移すようになる。これは8割の確率
で起きる。
 それは困ると思って、根切りの普通のモヤシを買う。10円ほど余分に払って。さて、使おうとすると、ほとんど根が切れていない。何やねん。仕方ないから、手で根を切り取る。
 いやいやでも、やがてリズムが出てくる。どんどんスピードを上げていく。最高スピードに達したころ、残す方と捨てる方をを間違える。不思議なことに、この混乱は8割の確率で起きる。結局は根つき、根切りにかかわりないにで、ノヤシ普遍の法則を名づけている。
 「次から絶対に根切りモヤシは使わない」と決心する。ところが売り場に行くと、「今日のはきちんと根を処理してのではないか」と楽観的に推測し、また普遍の法則のえじきになる。
 豆モヤシの根を切って、塩ゆでする。ボールにゴマ油、塩、白だし少々を入れて、モヤシを和える。市販のザーサイを細長く切って、モヤシと混ぜる。韓国料理と中華料理のミックスなので、和食好きの先生は作らない。(梶川伸)2019.08.26

更新日時 2019/08/26


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