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押しつけ花物語(35) 異名だらけのスイバ

スイバの実のほか、ムシトリナデシコ、ハハコグサ、キキョウソウなど

 四国遍路の途中、徳島県勝浦町の「ふれあいの里さかもと」に寄った。廃校になった小学校の校舎を使った宿泊施設だった。
 食事は地元のおばちゃんたちが作る田舎料理。植物の温かい天ぷらが運ばれてきたのだが、食べたことのないものがあり、名前を尋ねた。するとそのおばちゃんは隣の炊事場にいったん入り、仲間に名前を確認してから戻ってきて、「スイスイ」だと教えてくれた。その可愛い名前に顔がゆるんだ。
 普通はスイバという。イタドリ、スカンポという言い方ある。ここではスイスイと呼ぶらしい。どこにもある草なので、方言も多いのだろう。
 名前は地方によって変わるが、スイバ自身は時期によって色を変えていく。茎や葉は最初は緑だが、赤茶の色を添えていき、たくさんの実をつける。麦のような小さな実で、裏表とも少し中心部が盛り上がっている。実も緑から赤へと、いろいろな色を見せるので、見飽きることはない。(梶川伸)2018.06.10

更新日時 2018/06/10


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