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編集長のズボラ料理(258) 車麩の卵とじ

甘辛い方が好みだが

 すき焼きに麩(ふ)を入れるかどうか、何度か話題にしたことがある。僕が子どものころ、うちのすき焼きには入っていた記憶がある。だから、ほかの家でもそうだろうと思ったからだ。
 ところが相手は、あまり乗ってこない。麩入りすき焼きはマイナーだったのだろうか。あるいは、量を増やすためのおふくろの知恵だったのだろうか。
 確かに麩好きの家である。みそ汁にも、おふくろはよく入れていたし、僕のその血を引いている。
 みそ汁の具に何を入れるか、何度か話題にしたことがある。僕の場合、1番はジャガイモとタマネギ。2番に続くのが、麩か豆腐となる。しかし、相手は麩にはあまり乗ってこない。これが腑に落ちない。
 その代わり最近は、「具だくさん」が多い。だが、これは答にならない。だから、「もう、たくさん」と言って、話題を変えることにしている。
 子どもが小さいころ、しょうもない怪談話がはやり、よく聞かせた。その1つに、「恐怖のみそ汁」があった。これは低い声で、ゆっくりと話さなければ怖くない。「今日、麩のみのみそ汁」。子どもは喜んだので、三代にわたる麩好きの家族と言っていい。
 沖縄料理を食べに行くと、必ず注文するものがある。スクガラス、モズクの天ぷら、ジーマミ豆腐、それに麩チャンプルー。仙台市では居酒屋で、油麩の卵とじを注文した。このあたりは「ちょっと味見を」(804)で紹介した。今回の料理も、「味見」で紹介ずみの油麩の卵とじにした。麩は使い勝手がいいのである。
 脂麩を輪切りにして、水で戻す。水分を切って、だし、砂糖、しょうゆで味付けをして煮る。水は少な目にして、煮詰まる直前に刻みネギと溶き卵を入れ、卵とじにする。油麩は揚げてあるので、表面が固い。それが良い食感となる。(梶川伸)

更新日時 2017/04/26


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