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編集長のズボラ料理(189) ミンチと糸コンニャク炒め

水分がなくなるまで炒める

 基本的にミンチは安い。そのミンチを家族が好きだから、安上がり家族と言える。
 それでも若干のこだわりがある。スーパーの肉売り場に行って、「肉はやはり国産や」と言いながら物色する。ステーキの話ではない。たかだか、ミンチの話ではあるが。
 牛か豚のどちらかの国産ミンチなら、さして困ることはない。さまざまな量を入れたパックが並んでいる。ところが合い挽きとなると、様相が違う。両方とも外国産であったり、片方が外国産であったりする。両方とも国産は数が少なく、隠れているようにオズオズと棚に並んでいる。だから、探すのに苦労する。
 やっと見つけたとする。400グラム使いたいので、今度はそのくらいの量のものを探す。これが難儀なのだ。パックの数が少ないうえ、ちょうどそのくらいのグラム数のものがない。250~300グラムが主流で、1パックでは足りない。だからと言って、2パックでは多い。どうすりゃいいのか、思案橋となる。
 結局2パック買って帰る。今度は実際の調理の際に迷いが生じる。全部使ってしまおうか。それはぜいたくだろうか。少し残すか。わずかに残ったものは、次に何に使えばいいのか。この結論が出るまでに、最低3分はかかる。
 ミンチが好きだから、食べに行っても気楽だ。洋食屋さんなら、ステーキではなくハンバーグ。パスタならゴルゴンゾーラやワタリガニではなく、ミートソースとなる。ボロネーゼではなく、あくまでもミートソースである。中華料理店なら、フカヒレや北京ダックよりも肉団子の甘酢となる。
 究極として、551のシュウマイに行きつく。豚まんは皮があるが、シュウマイならほぼミンチとタマネギだけだから。実に安上がり家族だと思う。
 糸コンニャクも好きだから、安上がりに輪をかける。ごくたまにすき焼きをしたとしても、人気の上では牛肉と糸コンニャクは匹敵する。食べ始めは牛肉が先行する。牛肉ばかり食べていると脂っこくなり、やがて食べるスピードは急激に落ちる。満を持して出てくるのは糸ゴンニャクで、これは長続きする。あまり味がないのが、かえって持続性を持たせる。「ダイエット、ダイエット」と言って食べる者もいるが、それはうそで、単に糸コンニャクが好きなだけだ。
 糸コンニャクはさっとゆで、アクを取っておいて、適当な長さに切る。青ネギも適当な長さに切る。フライパンに油をひき、国産合い挽きミンチを炒める。続いて糸コンニャク、ネギも入れ、だしの素、砂糖を加えて炒める。しばらくして、みりん、酒、しょうゆを入れて炒め、水分が飛んだらできあがり。安い!(梶川伸)

更新日時 2016/05/23


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