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編集長のズボラ料理(168) サクラエビのかき揚げ 

衣は薄めの方がきれいにできるが

 天ぷらの中では、かき揚げが1番好きだ。讃岐うどんのセルフの店にいくと、トッピングはかき揚げか、竹輪かゲソの天ぷらに決まっている。
 ただし、好きだということと、作る技術との間には、何の関連性もない。つまり僕は、かき揚げが下手だということだ。
 世の中に、かき揚げほど難しいものないと思っている。衣は薄い方が上品なので、なるべく溶いた小麦粉を薄くしようと思う。すると、揚げる時に具がバラバラになって、ひょっこりひょうたん島のように油の中をさまよう。
 まとまりをよくするために、溶いた小麦粉をねっとり状態にする。今度はだんごのようになって、キャッチボールでもしたくなる。
 離れ離れにならないように、僕は油に落した具材を、はしで油鍋の手前の内壁に押し付けて、流出防ごうとしていた。すると友人が「それは違う。鍋の向こう側の内壁に押し付けるのだ」と、偉そうに教えてくれた。教え通りやってみたが、たいして変わりはしない。
 かき揚げの中では、サクラエビが1番だと確信している。あの香ばしさに勝てるものはない。それに春の爽やかさがする。サクサクとした軽いエビせんと言ったところだ。
 弟が毎年春になると、生のサクラエビを送ってくれる。その晩はかき揚げと決まっていえうから、心を落ち着けて、静かにその時を待つ。すると、いくつか作って、半分成功すればいいという達観した境地に達する。、
 ゆでたサクラエビでもいいが、できれば生のものを用意する。あとはミツバ。両方を小麦粉と一緒にビニール袋に入れて、よくまぶす。小麦粉に少しコーンスターチを混ぜ、水を注いで衣を作る。サクラエビとミツバを衣の入れ物に移し、適当にはしでつまんでフライ返しに乗せ、油に滑り落とす。後は、天に祈る。(梶川伸)

更新日時 2016/02/16


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