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編集長のズボラ料理(159) カブの塩コンブ和え

写真は赤カブも加えている

 おやじは転勤族だった。だから僕は幼稚園2つ、小学校4つ、中学校2つを経験している。
 小学校6年生の時に、東京から大阪に転居した。関東と関西のギャップに随分と驚いた。まず第1は、アクセントの違いだった。国語の時間に先生から、みんなの前で話すように言われたのを覚えている。半世紀以上も前のことだから、よほど恥ずかしかったのだろう。
 食べ物では、塩コンブが衝撃だった。小学生ながら、「うまいもんだなあ」と思った。グリコやたこ焼きよりも塩コンブだから、老成した子どもだったのかもしれない。
 当時は小倉屋の塩コンブを食べていたような気がする。子ども心にも、結構高いものだと知っていたのだろう。ご飯の上に1枚か2枚、最大でも3枚を乗せて、お茶漬けにする。ガバガバ食べたいところを抑えているのだから、けなげなものである。
 大阪に転居して以来、塩コンブなしには生きていけない人間になってしまった。トロロコンブ、梅干し、カツオ節と塩コンブをお椀(わん)に入れ、熱いお茶を注いで、ちょっとしょうゆをたらす。これは何度となくやった。高級料亭など行くことはなっから、料亭の味に近いのではないかと勝手に考えていた。
 小倉屋のあと、一時期は永田屋が好きだった。神宗も食べる。しかし、いつも冷蔵庫に入っているのは、スーパーで買、細切りの安いコンブである。これなら、ガバガバ食べられる。
 何でも塩コンブで合えてみたくもなる。冬はカブ。カブは皮をむいて、薄切りにし、適当な大きさに切る、これに潮コンブを混ぜ、しばらくおいてから食べる。
 関東人から関西人になって1番の変化は、巨人ファンから阪神ファンになったことだろう。周囲からは「なんちゃってタイガース」とののしられてはいるが。(梶川伸)

更新日時 2016/01/26


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