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豊中・池田の文化財④ 信濃秋山の民家

信濃秋山の民家。1961年に移築された

 豊中市・日本民家集落博物館(服部緑地)にある3棟の国の重要文化財の1つ、
「信濃秋山の民家」(旧山田家住宅)は、長野県最北端の村にあった。18世紀半ばに建てられたと推定されている。
 特徴は壁が茅(カヤ)でできていて、室内に板間がないことだ。地面の上に直接むしろを敷いて暮らしていたらしい。地面に石で造った囲炉裏の跡があるという。「秋山郷は豪雪地帯のため、通気性のよい板間より、土座に厚くむしろを重ねた方がふかふかして暖かかったのではないか」と博物館学芸企画課長の山城統さんは推測する。壁の茅も「夏は薄く、冬は分厚くふいて調整していた」と説明する。製材機もなかった当時、壁や板間に使う薄い板を作るのは難しかった。土壁は春先に溶け出した雪がしみ込んでしまう。茅壁は雪国ならではの知恵らしい。
 山城さんによると、秋山郷は稲作には厳しい山間部にあるため、人々は狩猟や木工細工で生計を立てていたという。「昔は山村や里山に茅場があり、茅はコストのかからない材料だった。茅を刈ったり、ふいたりする労働力も安く、村人たちは互い協力して厳しい環境を乗り越えたのでは」と話している。(早川方子)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」60号(2014年2月13日)

更新日時 2014/02/10


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