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編集長のズボラ料理(784) あんチーズ

弱火で焼く

 あんこにそれほど思い入れがあるわけはないが、子どものころに食べたキャラメルを思い出すと、あずきキャラメルが浮かび上がる。
 改めて調べてみると、森永製菓の商品だった。森永ならミルクキャラメルが大人気だったはずだが、あずきキャラメルも結構食べた。実はあんこが好きだったのかもしれない。
 そういえば、アイスキャンディーでは、井村屋のあずきバーが好きだったし、いまでも買うことがある。固いのだが、コチンコチンではない。それがアズキのせいかもしれないが、その歯ごたえが好みなのだ。
 愛知万博を見に行った時、名古屋名物をいくつか食べた。きしめんは駅で、みそカツとエビフリャアは万博会場で。台湾料理「味仙」にも行った。事前に愛知県出身のギョウザ屋さんのおっちゃんに、名古屋では何を食べればいいのかを聞いた答が、味仙だったからだ。辛い台湾ラーメン、ニンニクをうまく使った青菜いためが気に入った。
 コメダ珈琲店は寄ることに決めていた。あんバタートーストは、名古屋では食べなければいけないものだった。京都市の八角堂の境内にあるカフェで食べたことはあるが、本場には敬意を表しておきたいものだ。
 今考えると、「行っておきたい」感を持ったのは、あんとバターの組み合わせが意外に思ったのだろう。今ではそれほど珍しいとも思わないし、コメダはどんどん支店広げていて、自宅からそれほど遠くない場所にもいくつか支店ができた。あんバタートーストは名古屋味ではなくなってしまった。
 先日、イオンのチーズ売り場で、「チーズデザートあずき」を見つけた。ベストプライスの商品で、小さなチーズ4つがセットになっているシリーズの1つだった。
 僕の感性では、あんことの組み合わせはバターまでで止まっていて、チーズはまだ意外性があった。さっそく買ってみた。これが、今回のズボラ料理に結びついた。たまたま、正月用に買っていた御座候のあんこが残っていたし。
 フライパンに油はひかず、とろけるチーズを入れて、弱火で焼く。チーズの上にあんこを乗せ、さらにとろけるチーズでふたをする。形を整えながら、チーズに焦げ目がついてきたらひっくり返し、この面にも焦げ目をつける。
 チーズデザートあずきは、まさにデザート。ズボラ料理の方は、おかずには無理かもしれないが、ビールのあてにはなりそう。
 あんこには意外性がある。香川県の王月の雑煮は、あん餅を使う。高松市に住んでいたころに知って、びっくりした。四国遍路の先達(案内人)をしている時、昼食場所として一行を何度か「かなくま餅福田」(香川県観音寺市)に案内し、あん餅うどんを食べてもらった。このうどんは、あん餅雑煮からの発想だろう。
 メンバーのお遍路さんの反応がおもしろい。意外性を感じるまでは同じだが、以後は3通りに分かれる。①食べてみる人②うどんは食べるが、あん餅は残す人③餅を箸で割ってみて、やはりあんこが入っているのを確認して悩む人。(梶川伸)2025.02.02                                            

更新日時 2025/02/02


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