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編集長のズボラ料理(711) サーモンとカブの甘酢

色合いを大事に

 カブとカブラ。ぢちらも蕪のことだが、カブラという言い方には愛敬がある。あか抜けないのだが、日本料理にするとおいしそうな響きになるから不思議だ。
 例えばかぶら蒸し。すりおろしたカブを使うだけのことだが、料亭の料理を思わせる。カタカナのカブラではなく、ひらがなのかぶらが似合うのも料亭ならではだろう。料亭に縁がないから、想像するだけではあるが。
 アマダイを使った料亭のかぶら蒸しを、テレビで見たことがある。自宅近くのスーパーでは、アマダイを売っていることはほとんどない、そこで安易に、鮭のフレークをハンバーグ状にしてかぶら蒸しに挑戦したことがある。成功したのか失敗したのかは分からない。料亭の味には縁がないからだ。
 かぶら寿司も雰囲気がいい。かぶらとブリを使って発酵させたもで、石川県に行くと食べてみる。
 そうそう行く機会があるわけではないので、寂しく思っていたら、似たような響きのものを京都で食べた。常照皇寺の紅葉行った時、道の駅「ウッディー京北」に寄った。食べ物を物色していると、「鯖かぶらずし」を見つけた。ファミリー割烹・裕山 の商品だった。
 かぶらは結構厚く切って鯖の上に乗せてあった。発酵させたかぶら寿司とは違い、京都名物の鯖寿司の変形だが、さっぱりしていた。かぶらはいい働きするもんだ。
 妙心寺の塔頭、退蔵院は紅葉の時期に特別拝観がある。寺の説明を聞き、「阿じろ」の昼食を食べ、庭を散策する。期間限定で、そのチキはは4500円だからちょっと高かったが、全く動じなかった。
 友人で琴の先生が、弟子の女性8人を連れて京都の紅葉を見物するので、案内を頼まれ、これ幸いと退蔵院を選んだのだ。当然おごり。持つべきものは友人である。
 昼食は、4つに仕切られた箱にメーンの料理を入れて運んでくる。その中の1つに、菊かぶらがあった。カブに切れ目をたくさん入れて、菊に見立てていた。品書きにはやはりひらがなのかぶらだった。
 今回は料亭ではないズボラ料理なので、カタカナのカブを使う。サーモンは焼いて、食べやすい大きさに切る。カブは皮をむき、縦半分に切って、さらに薄切りにする。ボウルに酢、砂糖、ユズのしぼり汁、白だし入れて混ぜ、サーモンとカブを和え、しばらく置く。
 紅葉見物のあと、琴グループに土産に買いたい物を聞くと、3人が錦市場のだし巻きだった。そこで錦市場に案内し、京都駅でまた寄り道をした。阿闍梨餅を買いたい人がいたからだった。阿じろ、田中鶏卵、阿闍梨餅。おもしろい組み合わせの 日帰り京都旅だった。(梶川伸)2024.01.31

更新日時 2024/01/31


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