編集長のズボラ料理(614) ジャガイモのキーマカレー卵焼き
キーマカレーは安っぽいという勝手な思い込みがある。どうしても、肉の種類や、肉の大きさでランク付けをしてしてしまうからだろう。店では、ほとんど食べたことがない。
まず、肉の種類。キーマカレーは鶏肉のミンチを使うことがあるが、「肉は牛」という思いが頭にこびりついている。
カレーを作り、作った夜は食べ切れず、2日目に朝にまた温めて食べ、それでも少し残るので、昼にはご飯を鍋に入れて温めてドライカレー風にして食べる。この時、鍋にこびりついたカレーもご飯でこそぎ落す。しかし、頭の中にこびりついた「カレーは牛肉」の固定観念は、ちょっとやそっとで落ちるものではない。
関西で生活していると、肉と言えば牛なのだ。関東の豚カレーは、カレーと認め似ない。肉自体のランクはダントツで牛肉が1位。2位は大きく遅れて豚肉。さらに1周遅れで鶏肉となる。
遍路仲間に、この順位を徹底して生きている女性がいる。豚肉はあまり食べない。鶏肉にいたっては、食べたことがないという。きっと料理ができないのだと思ったら、子どもにはよく鶏のから揚げを作ったらしい。でも、自分は食べない。
きっと料理が下手だから、自分は食べないのだと思った。ところが、仲間で家を訪ねると、手料理が出て、食べてみるとうまいじゃないか。でも、鶏は食べないと言うから、トリつくしまもない。
2つ目は大きさ。カレーのルーは、野菜は溶けて跡形がなくなっても、肉は形を見せつけてほしい。その昔、大阪市・天神橋商店街のカレー屋「どい亭」にたまたま入り、その心髄を見た。煮込んだ牛肉が別にとってあり、それとルーを小さななべに移して、温める。ご飯の上に煮込んだ肉を4つほど並べる。その上にルーをかける。肉が大きいので、それに敬意を払った儀式であろう。
その点、キーマはミンチだから、ルーの中にあるのだかないなのだか。はっきりしてほしい。牛肉でも煮込んで繊維状になっているレトルトカレーもあるが、小さくてもいいから、さいころ状の形を残してほしいものだ。
偉そうに書いてはいるが、うちにはレトルトのキーマカレーが常にある。使いやすいから、という理屈をつけているが、本音は安いからだ。現実とは、そんなもんである。
ジャガイモとハムを細切りにする。タマネギは薄切り。フライパンに油をひいて熱し、具材を塩・コショウをふって炒める。火が通ったらレトルトのキーマカレーも加えてさらに炒め、最後に溶き卵を入れてオムレツ条にする。
カレーは肉の存在感がいると偉そうに書いたが、2日目の昼のドライカレーの時点では、肉などひとかけらない。カレーは肉よりも、ルーなのかなあ。(梶川伸)2022.08.05
更新日時 2022/08/05