このエントリーをはてなブックマークに追加

編集長のズボラ料理(606) 揚げソラマメ

粉チーズはたっぷりと

 暇だから、散歩をする。花の写真を撮るのが主目的だから、ダラダラ歩く。時速にすると3キロほどの遅さ。
 医者に行くと、「何か運動をしているか」とよく聞かれる。一応は「毎日のように散歩」と答えるが、果たして運動になっているのかどうか。
 四国遍路を続けているころは、結構歩いた。バスを使った遍路旅の先達(案内人)をしていた時も、昔ながら遍路道は歩くというのが売り物だった。
 11番・藤井寺から12番・焼山寺への道は、遍路道の中でも有数の難所で、「遍路ころがし」の異名を持つ。寺は標高700メートルの場所にある。距離は約12キロ。しかも、登って下りて、登って下りて、また上るので、登りだけ合計すると標高差葉は1200メートルにもなる。そこも5回経験した。しかし、年には勝てない。
 先達として1回目に遍路ころがしを案内したのは、2003年のことだった。足に自信がない人もしるので、7時間あまりをかけて32人を引率した。遍路転がしに限らず、しんどい道も一緒に歩いて1周したので、その時のメンバーは中がよかった。
 2010年にそのメンバーで、もう1度遍路に行こうとなった。新しいメンバーも一部いたが、遍路ころがしには24人が参加した。しかし、7年の月日が経っていて、歩始めたのは13人。ほかはバスに乗って楽ちん遍路。一方、歩きの方だが、コースのん途中で1カ所だけ車が入れる場所があり、そこで4人がタクシーに乗った。結局通したのは僕を含めて9人だっが。年の流れは残酷なものだ。
 散歩道から遍路道へとそれてしまったが、それからさらに12年たっている。ダラダラ散歩もやむをえない。
 ただ、ゆっくり歩くのもいいもんだ。田畑のそばを通るので、畑で作業をしている人に、大根もらったこともある。エビイモを収穫している人に話しかけたら、差し出されたこともある。獲れたてのイチジクを安く分けてもらったこともある。わざわざ納屋からカボチャやトマトを出てきて、渡してくれたこともある。だから、散歩の際は買い物袋を、隠し持っているお。
 観る楽しみもある。野菜がどんな風にできるのかを見るのもおもしろい。オクラは先を上に向けている。ズッキーニも。下に向けてぶら下げた方が楽なのに、と思うのだが、なかなか根性がある。
 ソラマメも上に向かって差し上げる。だから空豆。エンドウマメなどに比べると豆が大きので、さぞや重いだろうに、よく持ち上げる筋肉を鍛えているもんだ。
 ソラマメはさやから取り出し、包丁で縦に切れ目を入れる。油で素揚げし、切れ目から皮が弾けたら取り出して、皮をむく。皿に盛って、黒コショウと粉チーズを振りかけて食べる。
 どんどん足が弱くなる。だから損保道のちょっとした差には「散歩ころがし」と名前をつけ、できるだけ避けるようにしている。変わらないのは、買い物袋を隠し持つこと。(梶川伸)2022.06.15
 

更新日時 2022/06/15


関連リンク