編集長のズボラ料理(594) スパムむすび
スパムとは何だ。僕のような年寄には、パソコン用語のスパムもチンプンカンプンだが、ここでは食べもの方のスパムのことを言っている。
僕は防災袋のリュックサックを用意していて、月末に食べ物を取り換える。缶詰が2つと、クラッカーのようなお菓子系統のもの2つ。
お菓子系統のものはたくさん種類があるが、缶詰は案外少ない。スーパーに行くと、サバ缶が全体の6割くらいを占めているから、買うのはどうしてもサバが多くなる。リュックから出したものは食べるので、月初めはサバが食卓に並ぶ。
月1とはいえ、サバばかりでは飽きる。だから他も物色する。すると、サケ、サンマ、イワシとなり、サバと大差ない。焼き鳥もあるが、災害の時に開けて食べるには量が少なすぎるし、空ければ酒がほしくなり、非常時にははなはだ不謹慎なことになる、だから買わない。
缶詰めコーナーではスパムが異彩を放つ。魚とは趣が異なるし、大きいし、少し高いし、沖縄の雰囲気がある。これは、目先を変えるために、時々防災袋に入れる。そして、1カ月後を楽しみにする。サバ缶には飽きているし、防災袋がなければ、わざわざ買って食べることなどないからだ。
食べる段になって、いつも思う、「スパムとは何だ」。似たもので、なおさら考え込む。。
1番の類似品はコンビーフだろうる。缶詰め売り場にあるが、小さい割に高いので、ほとんど手を伸ばさない。肉売り場の横に行けば、ハムもあれば、ソーセージも、ベーコンもある。どう違うのだろう。
そこでスパムをインターネットで調べてみた。何と一般名詞ではなく、アメリカ・ホーメルフーズ社の商品名ではないか。そして、豚肉のハムとミンチを組み合わせが独自の食べ物だと言うことも知った。類似品として挙げたものは一般名詞だが、スパムは独自すぎて、どの一般名詞にも属さないようだ。
そうと分かれば、すべてのことが腑に落ちる。コンビーフはビーフで牛肉だから、明らかに違う。ハムとベーコンは豚肉であるが、もも肉かバラ肉を単独で使う加工品だから、ちょっと違う。ソーセージは肉の種類はいろいろらしい。まあ、グルメではない僕には、大した問題ではない。
スパンを缶から取り出し、短冊に切る。フライパンで油をひかずに、両面を焼く。俵型のおにぎりを作り、その上にスパムを乗せ、細く切った焼きノリでスパムとおにぎりを一緒に巻く。
スパムむすびも見かけることはある。ただ、おむすびの世界でも、ちょっと異彩を放つ。ここでも沖縄を連想するが、米軍基地の関係で沖縄に定着したのかもしれない。そう考えると、深みがあるおむすびである。(梶川伸)2022.04.19
更新日時 2022/04/19