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編集長のズボラ料理(563) 鶏とネギの鍋

ネギを縦に並べれば見栄えがいいが、めんどうくさいので手抜き

 冬は寒い。寒いから温かいものを食べたい。でも、手間をかけたくない。そうなると、鍋しかない。
 夏は暑い。暑いから冷たいものを食べたい。でも、手間をかけたくない。そうなると、そうめんしかない。
 そうめんは器に水を張り、氷も入れて、めんを泳がせ、すくって食べる。これは涼やかだし、冷たくていい。
 何で、そうめんがあるのに、冷たい鍋はないのだろうと思ったが、そうめんスタイル、鍋に近いのではいか。つゆには錦糸卵やキュウリ細切り、干しシイタケを煮たものなどを入れることがあるので、ますます鍋のイメージに近づく。
 それなのに夏鍋がないのは、鍋というものの本質による。鍋は何かを温めるためにある。そうめんも最初は鍋でゆでる。ここまでは鍋物の王道を歩んでいる。
 ゆで上がってからが問題で、ここから冷やす工程に入るが、その段階で、鍋は自分の出番は終わったとあきらめてしまうのだ。
 僕が小さいころは、おふくろがゆでて水で熱を取ったあと、また鍋に水を張り、そうめんを戻して、冷蔵庫で冷やしていた。食事の時間が来ると、鍋をテーブルの上に置き、家族で食べた。冷たい鍋は、昔はあったのだ。
 とはいえ、鍋は本来、中身を温めるものだから、本番は夏ではない。では、1年のうちで鍋初めはいつにすればいいのか。最近はスーパーに行けば、自然と教えてくれる。
 以前は鍋の味つけは、だしとみりんとしょうゆの3つの組み合わせが基本だった。だしだけにすれば水だきだし、みそを加えれば土手焼き、水とみりんを使わず、砂糖を加えれば好き焼きとなる。
 ここ数年はスーパーで、あらゆる鍋のだしやスープのパックを見かける。そんなの使わなくても、と思うのだが、阿波尾鶏の鍋スープがあると、つい買ってしまう。
 夏でもパックはあるが、その数はわずか。それが広いコーナーにズラリと並んだ時が、鍋始めとなる。つまり、鍋のスタートの合図は、スーパーで決められるのだ。それではズボラ料理のプライドが許さないから、今回はスーパーのできあいは使わない。
 ぶつ切りの鶏を用意する。白ネギは5センチくらいの長さに切る。量はたくさん。鍋に水を張り、鳥がらスープの素を加えて熱する。鶏とネギを入れ、塩をふって煮る。最後にコショウを入れれば完成。
 どうだ、ズボラの意地を見たか。偉そうに書いてはみたものの、こんな単純なら、できあいを使うまでもない、とも言える。(梶川伸)2021.11.21
 

更新日時 2021/11/21


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