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編集長のズボラ料理(558) ミンチ・エノキせんべい

少し焦げすぎてしまった

 ここ数年、キノコが安くなったよう気がする。自宅から近鉄電車で2駅の近鉄百貨店奈良店に行くと、必ずキノコ売り場をのぞく。すると、安くなったことを実感できる。
 電車の場合、家から駅、駅から百貨店の間の歩きの時間を含めると、25分で行ける。しかし、たいていの場合は行きは散歩がてら歩く。所要時間はストレートに行って1時間20分。別にこともないので、このくらいは許容範囲である。
 廃止された市民プール跡地の小さな花壇をのぞく。僕の頭も良くしてほしいと願いながら、東大寺学園の前を通る。田舎道を歩いて、野菜の花の写真を撮る。授産施設に寄って、手作りのクッキーを10種類買う。値段は1000円。こんなにダラダラしているので、所要時間は伸びて、たいていは1時間半は過ぎる。
 百貨店手前に、大きな分かれ道がある。時にはストレートな道からそれ、佐紀石塚山古墳(成務天皇陵)と佐紀陵山古墳(日葉酢媛陵)の間の道を通る。僕が奈良で好きな道が2つある。1つは東大寺の大仏殿の裏から二月堂に向う道、もう1つがここだから、この道にそれると、百貨店への所要時間はさらに伸び、2時間になってしまう。
 百貨店に着くと、地下食料品売り場に行く。歩いていて、運賃210円を得しているので、気が大きくなる。そこで、551の豚まんを買う。1個なら210円でおつりがくるが、気がゆるんでいるから、4個は買う。
 次に野菜売り場の中のキノココーナーに行く。マッシュルームか、アワビダケか、シイタケか、ブラウンエニキダケか、マイタケか、エリンギか、ヒラテケか、何を買う。どれを買っても、片道運賃までいかない。ここに、安さの実感がある。ただし、マツタケは見て見ないふりをする。
 帰りはしんどいから、近鉄電車に乗る、その時に、ふと思う。百貨店まで歩いたのは、得をしたのだろうか、と。帰りは210円を払っているわけだし。
 エノキダケは5ミリくらいに切り、合びきミンチと一緒に油で炒める。味つけは砂糖、酒、しょうゆとだしの素、コショウ。炒めたものをボールに入れ、その2倍くらい小麦粉も加えてよく混ぜ、手で練る。アルミホイルを広げ、軽くバターを塗る。その上に練ったものを平たい四角に成形する。水分が少ないので、四方の横と上から押さえて固める。厚さは5ミリほどがいい。オーブンでじっくり焼いて、せんべい状にする。食べやすい大きさに切って、皿に盛る。
 食べる時、また迷いがぶり返す。自宅前のイオンなら、食料品売り場まで歩いて2分で行けるわけだし、と。そこにもキノコは売っている、(梶川伸)2021.11.03

 

更新日時 2021/11/03


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