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編集長のズボラ料理(549) カジキのフライ

味が淡泊なのでソースなどをかけてたべてもいい

 奈良県十津川村から自転車で、紀伊半島を南下したことがある。上湯温泉で泊まり、朝から温泉巡りのツーリングだった。
 まずは十津川温泉郷の川にそばの露店ぶろ。続いて湯ノ峰温泉のつぼ湯。ここは直径1.5メートルほどの小さな石の湯船。1度に1人しか入れない。つぼ湯を管理している喫茶店のおばちゃんが、「ゆっくり入っといで。ほかの客が来たら、教えてあげる」と言ってくれた。
 渡瀬温泉に続いて、川湯温泉へ。河原を掘って入る。河原には設置された露天風呂があったので、掘る手間を省くため、そこに入った。そして驚いた。そばで遊んでいた若者たちが、湯船墓でボンカレーを温めていたのだ、ボンカレーとの混浴。カレーまみれにはならなかったが、興ざめして、屋内の公衆浴場に入り直した。
 約90キロ走って、和歌山県那智勝浦町の勝浦温泉の公衆浴場で締めくくった。おおむね下りのコースだったので、自転車をこぐしんどさはなかったが、1日に5つの温泉に入ったので、体がふやけたようだった。
 那智勝浦町はマグロの水揚げ港として知られる。完走のごほうびにに、マグロを食べた。まず、マグロバーガー。JRの駅前に足湯があり、そこに入っていた若者が食べていたから、まねをした。近くの店に頼むと、足湯まで運んでくれた。さらにすし屋さんに入り、漬け丼を注文した。
 マグロのことを書いたのは、今回の料理はカジキを使うからだった。カジキについて知識がない。「カジキマグロ」という言い方もあるので、無理やりマグロに結びつけた。マグロに結びつける、無理やり温泉ツーリングを引き合いに出した。
 ところが調べてみると、カジキとマグロは違う種だとわかった。でももう遅い。モンカレーまで書いてしまったではないか。
 スーパーに行くとクロカワカジキの切り身を、その日のお薦め商品として並べてあった。しかも、骨抜きの表示。これは使いやすそうだから買った。
 切り身が大きかったので、1つを二棟分して使った。後は通常のフライの作り方。塩とコショウをふり、小麦粉をまぶし、溶き卵にくぐらせ、パン粉をつけて揚げた。
 無理な文章展開だったと、我ながら省している。マグロはずっと泳いでいないと、生きていけないらしい。僕もマグロの仲間かもしれない。書き始めたら書き続けてしまった。いったん止まって、カジキについて調べれば、そこで書く意欲を失ったはずなのに。(梶川伸)2021.10.07

更新日時 2021/10/07


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