編集長のズボラ料理(539) 揚げジャガのクコの実入り南蛮漬け
クコの実をもらった。さて、どうしたものか。
赤い小さな実で、薬膳料理に使われる。偉そうに書いたが、中華料理の本格的な薬膳料理など、1回しか食べたことがない。大阪市・新大阪駅近くのニューオオサカホテルのレストラン・慶招楼だったが、自腹ではなかったので、「食べた」と書くこと自体がおこがましい。かしこまっていたので、味もほとんど記憶がない。
そんな程度だから、薬膳の象徴的な食材ではあっても、実はクコが何者かを知らない。ということで、インターネットを使って調べてみた。ゴジベリーというらしい。ベリーの一種なのかもしれない。しかし、「ナス科の低木」とも書いてある。何だ、ナスの仲間か。大したことないじゃないか。
中国では不老長寿の薬だという。楊貴妃が食べていたそうだが、僕の周りには、そんんな美人はいないから、ピンとこない。
僕が口にするのは、中華のおかゆに乗っているか、杏仁豆腐(あんにんどうふ)に乗っているか、どちらかである。それもたった1つだから、なかなか寿命は伸びない。
遍路仲間が時々、新大阪のリーゾナブルな中華料理店・小麦ランドに集まって一杯飲む。何と、この店はニューオオサカホテルの直営。ただ、店名からもわかるように、かしこまる必要がない。だから、割り勘にしても、懐はそれほど痛まない。
女性組が最後に食べるのが、杏仁豆腐だった(最近は大学イモが多くなったが)。しかし、クコの実で美人になったかというと、効果が出た兆候がない。
クコをもらって、使い方を知らないから、冷蔵庫で眠っていた。ひょんなことから出番になった。
ジャガイモの皮をよく洗ったあと、丁寧に水分をふき取る。食べやすい大きさに切って、油で素揚げする。そうめんつゆ、ゴマ油、レモン汁をよくかき混ぜ、それにジャガイモを入れて、しばらく置く。
以前、梅干しの実をたたいて加えたことがあるので、今回もそうしようと思った。梅干しを冷蔵庫から取り出そうとすると、そばにクコがあるではないか。出会いがしらである。これが、「ひょんなこと」だった。
「そうだ、梅干しの代わりに使ってみよう」となった。色も赤くてよく似ているし。クコは水や湯で戻すが、つゆの中でふやけていったのは好都合だった。
いただき物だから、ためらいなく使った。次に遍路仲間に合った時、女性組が驚くに違いない。きっと僕には効果が出ているはずだ。(梶川伸)2021.09.07
更新日時 2021/09/07