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編集長のズボラ料理(546) サツマイモのレモン煮

サツマイモは皮をつけたままが一般的

 サツマイモはおかずなのか、お菓子なのか。
 遍路仲間が月に1回、新大阪駅に近いリーゾナブルな中華料理店「小麦ランド」に集まって、ワイワイやる(コロナでしばらくは集まっていないが)。参加者それぞれが好きなものを注文し、みんなで分かって食べる。最後はいつも、女性メンバーが大学イモを頼む。これはおかずのしめくくりなのか、デザートなのか。
 四国遍路に行って、高知市の日曜市をのぞくことが何度かあった。広い通りにたくさんの露店が並んでいる。ここでの買い食いの代表はイモ天。サツマイモの天ぷらのことだ。
 「あげたて天ぷら 大平商店」の看板を掲げ、その場で揚げている。パソコンに残した僕のメモによると、1つ110円。
 サツマイモを厚く切り、衣をつけている。イモも甘いが、衣にも甘味がある。お菓子のようだが、小腹がすいている時にもいい。たいてい数人が列を作っていて少し待つことになるが、遍路にかかる長い時間を考えれば、そこで少々遅れても、誤差の範囲である。
 それより問題は、イモ天はおかずか、お菓子かだ。遍路の宿ではほとんどと言っていいほど、ちょっとした天ぷらがついている。その中に必ずサツマイモが入っている。じゃあ、おかずではないか。ただ、イモ天の場合は紙に包んでもらうので、箸(はし)は使わない。このジャンクさはお菓子といってもいい。
 奈良県葛城市、あけぼのパンの人気商品に、さつまいもフランスがある。バゲッドだが、それほどカリカリしているわけではなく、小さく切ったサツマイモと鹿の子豆が入っている。これはおかずパンなのか、菓子パンなのか。
 サツマイモは食べやすい大きさに切る。皮はむいても、むかなくてもいいが、僕は好みでむく。それをゆでる。その際に、砂糖とレモン汁を入れる。ただ、それだけのことだが、レモン汁を多くすると、少しおかず側に傾き、砂糖を多くすると、お菓子側に振れる。この食べ物は、どっちなんや。
 子どもころ、おふくろが時々、サツマイモご飯を作っていた。嫌いではなかったが、ちょっと違和感があった。サツマイモのおかげで甘い炊き込みご飯となるからだ。だから、サツマイモへのジレンマは、70年も続いていることになる。(梶川伸)21.11.01

更新日時 2021/11/01


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