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編集長のズボラ料理(516) 大根とリンゴのサラダ

大根は塩を振って水分が出れば絞っておく

 回転ずしほど、強い味方はない。理由の1つは、値段にある。
 以前、知り合いのおでん屋のおばちゃんから、こんな話を聞いたことがある。おばちゃんの店の近くにあるすし屋さんの大将が、話していたそうだ。
 高級なすし屋さんで、値段は時価。店の評判を聞いて、有名人が2人連れで来店した。ほかの客のことも考えず、うるさくしゃべりまくったそうだ。頭にきた大将は、支払いの時に仕返しをした。「10万円」
 客も主人も大人げないが、この話を聞いてからは、絶対に時価のすし屋さんには入らないと決意した。それ以前も入ったことがないから、決意を継続しただけと言った方が正確ではある。
 2つ目の理由は、何を食べるか困った時の切り札ということ。遊び仲間で東北に行った時もそうだった。
 青森空港に着き、レンタカーを借りた。昼ご飯をどこで食べるか相談したが、見ず知らずの地なので、店も知らなければ情報もない。困った時の回転ずし「函太郎」に入った。北海道・函館市が本拠地のチェーン店らしいが、そんなことはお構いなし。
 メニューを見ると、北の魚介が多い。はるばる遠くへ来てよかった。そんな思いで、バクバク食べた。スジコ、ホタテ、ズワイガニ。中に「はちみつたらこ」があったが、甘いのではないかと推察し、これはパスした。
 大阪に帰り、テレビを見ていたら、大阪市・梅田にできた函太郎を紹介していた。何だ、はるばる遠くへ行かなくてもよかったのだ。
 遊び仲間で和歌山県・白浜温泉の湯快リゾートに泊まった時も、回転ずしのお世話になった。地元の海産物などをそろえた「とれとれ市場」を見て、昼ご飯の店は隣接する「海鮮寿司とれとれ市場」。地元のものを中心に、バクバク食べた。クエの握り、梅酢を使ったしゃりのすし……。
 回っているすしの中に、梅干しが1個だけ乗っている皿があり、笑ってしましった。いくら梅の産地とはいえ、回転ずしにはそぐわないではないか。しかも確か300円ほどと高かった。最近はハチミツ梅がはやっている。回転梅もそうに違いないと思い、昔梅の好きな僕はパスをした。食べなくても、見ているだけでつばが出るので、食べたも同然だし。
 ハチミツには縁がなかったので、今回はあえて使う。大根をスライサーで円形に切り(スライサーがなければ、包丁で薄く切る)、さらに半月形にして、ほんの少し塩を振る。リンゴは4分の1にして種を取り、薄切りにする。オリーブオイル、ハチミツ、レモン汁を混ぜて和える。皿に盛り、上から黒コショウと乾燥パセリを振りかけ、スライスしたマッシュルームも乗せる。
 これを作っていて、はちみつたらこが気になってきた。本当は、心残りだったのだ。近場の梅田の函太郎に行こう。食べる前に「はーるばる来たぜ、函館へ~」を歌えば、梅田だということを忘れる。(梶川伸)2021.06.25
 

更新日時 2021/06/25


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