浅利敬一郎・豊中市長 新春インタビュー 「2012年の中核市へ保健所運営の具体的準備進める」
浅利敬一郎・豊中市長に、2011年の抱負などを聞いた。
◇2011年は豊中市にとってどんな年だと思われますか。
淺利市長 豊中市は市制施行75周年です。75周年をベースに元気な町づくりを進めます。また、大阪大学は80周年になります。豊中市と大阪大学は、交通の面や子どもたちの教育面で協力関係にあります。その一例としてマチカネワニがあります。マチカネワニは大阪大学のマスコットですが、市でもイベントや広報活動に使わせてもらい、お互いに協力しながら元気な市にしようと思っています。
◇2011年度当初予算には、どのような施策を組み込もうと考えておられますか。
浅利市長 豊中市は2012年に中核市に移行しますので、それに向けた予算を組まなければならないと思っています。1番大きなところでは保健所です。市が保健所を運営しなければならない。準備として、これまでも進めてきた事務的な処理や医師、獣医師、保健士を含む雇用の問題などを具体的に進めていきたいと考えています。
◇2011年にかける抱負や夢をお聞かせください。
浅利市長 豊中市は今まで住宅都市として歩んできました。当然、住宅都市の魅力は教育、文化です。住宅都市であり、教育文化都市として発展してきた中で、大阪空港周辺に残っている移転補償跡地の活用にも力を入れています。2008年に企業立地促進条例を施行し、ものづくり事業所を持ってこようと誘致活動を続けています。その正念場が2011年だと思っています。具体的には、北陽電機、塩野義製薬、二トリなどの企業進出も進んでいますが、空港、鉄道、高速道路が縦横に走っている豊中の利便性をアピールしてさらなる誘致へつなげたい。
また、大阪空港はせっかくある社会資源。現在は30の就航都市があります。沖縄市はこれまでもスポーツ、音楽などの文化交流が盛んです。島根県・隠岐の島町とは「空港で結ぶ友好都市提携」を結びました。精力的に豊中の魅力を売り込み、できる限り多くの就航都市と人、モノ、情報の交流を深めたい。アンテナショップを作ったり、物産展を開催したりするなど都市間連携をしてきたい。積極的な交流ができることを楽しみにしています。
◇大阪空港をめぐる状況が関西国際空港との関係で動いています。地元の市長として、どのような空港像を描き、国などに働きかけていきますか。
浅利市長 空港は災害時や世界との関係を考えても非常に大事です。原則は国が国家戦略としてしっかり考えることだと思います。
大阪空港は、年間1500万人が利用する空港です。地元にある空港を、町づくりや市民サービスにどう活かしていくのかが大事だと思っています。また、空港を活かす事業を行っていくのが地元、豊中市の役割だとも思っています。
大阪空港と関西国際空港が民間運営になります。大阪、関西が元気になるためには、関空が国際線のハブ空港として動いてもらう。大阪空港は国内線の基幹空港です。両方の空港を活性化させるためにどうあるべきか、単独ではなく周辺自治体11市でつくる大阪国際空港周辺都市対策協議会(11市協)で国に要望を出しています。先日は、関空の地元自治体9市4町の泉州市・町関西国際空港対策協議会(関空協)と初の意見交換会を開催し、大阪と関西を元気にするために協力してやっていこうと、話したばかりです。
◇「救命力世界1」は着々と実績をあげていますが、今後の展開をお聞かせください。
浅利市長 豊中市は36平方キロのコンパクトな土地に、人口が39万人と多く、しかも山がないという、とても恵まれた環境です。救急車の数も多く、豊中市民病院をはじめ、吹田市の国立循環器病センター、大阪大学医学部付属病院など大きな病院との連携がうまくいっています。さらに救急救命士取得率が高いのも特徴です。
すでに1万5000人の市民のみなさんに普通救命講習を受けてもらっていますが、年間2万人が講習を受講できる体制を整えたいと思っています。小学校高学年には必ず講習受けてもらい、命の大切さを学んでもらいたいと思います。
市内のどこで倒れても、救急車が平均4分10秒で行きつく環境が築かれているわけですが、やはり最初に見つけた人が心臓マッサージができるかどうか、関心を持っているかどうかが大事です。たくさんの方が関心を持つ「市民力」を活かして、さらに安心安全のまちを目指していきます。
◇豊中市の自慢を教えてください。
浅利市長 豊中市には大阪大学や大阪音楽大学があり、音楽や科学などの知的な分野がすぐれています。昨年は豊中市立第十一中学が全日本吹奏楽コンクールに初出場しました。大阪音大のオペラハウスなど市内の施設を使った音楽や文化活動も盛んです。豊中高校は文部科学省の「スーパーサイエンスハイスクール」指定校で、未来を担う科学技術系人材を育てることに力を入れています。大阪大学の科学への取り組みも充実しており、夏休みを利用した科学教室なども人気があります。「市民力」や「文化力」につながっていると思います。
◇趣味についてお聞かせください。
浅利市長 趣味といえば囲碁ですが、料理を作るのが好きです。何でも作ります。肉じゃがや炊きものなど得意料理もいっぱいあります。八宝菜を作って、ナスビの天ぷらのうえに八宝菜をかける。これがめちゃめちゃおいしい。
「北摂を元気にしたいオーナーシェフの会」のシェフたちと一緒に料理したことがあって、「包丁さばきがいいですな」と、言われました。料理の話だったらいっぱいあります。しゃべり出したら止まらないぐらいです。(聞き手・進藤郁美、礒野健一)
更新日時 2011/01/06