2日にわたり豊中版事業仕分け「戦略的たな卸し」
豊中市は10月30、31両日、市役所で豊中版事業仕分け「事業等の戦略的たな卸し」を実施した。公募した市民5人と学識経験者9人で構成する豊中市改革創造会議(会長・金井一頼・大阪大学大学院経済学研究科教授)委員会が、公開の場で市の事業について議論した。豊中市では初の試みで、初日はのべ50人、2日目は15人の市民が傍聴した。
創造会議は議論の中身を提言にまとめ、11月中に淺利敬一郎豊中市長に提出する。市は新年度予算案や次期行財政改革プランに反映させ、創造会議が2012年度まで進行状況をチェックしていく。主な意見は次の通り。
①保健・医療・福祉のネットワークづくり
・ネットワークの内容について具体化・明確化を図るべきだ
・事務・事業の移管について、民間、社会福祉協議会の自立化の促進、とりわけ自立化について自立計画を具体化すべきだ
・新たな事業負担に伴うコスト増加防止の手立てを明確にするべきだ
・既存業務ベースではなく市が担うべき業務範囲を明確化すべきだ
②地域産業の活性化~商工業振興の今後の展開
・戦略的なステップを行うには、次のことが必要
・いろいろな内部の部署との連携が必要
・プラスの戦略ではなく、今の業務をまず整理する
・テーマ設定とメンバー選定が重要
・うまくいっていることと、うまくいっていないことの違いを明確にする
・強みを活かして次の時代の産業振興をすべき
③介護サービスの充実
・介護保険料の具体的な推計値を取り長期的な計画を策定すべきだ
・大阪府からの権限移譲、健康支援室との事業整理に取り組んでほしい
・特別養護老人ホーム入所の待機者943人早期の解決に行動を
・介護サービスメニューの市民へのさらなる周知に取り込む
・介護予防、関連部局との連携強化、具体的な取り組みを
④就労環境の充実
・リーダーシップを発揮して、近隣市との取り組みを進める
・市長直轄のプロジェクトチームを作り組織として動きやすい体制を構築する
・企業との関係を作る人材が重要
・地域福祉、教育など他分野との関係を含め施策を研究する必要がある
⑤子育ち・子育て支援の充実
・関係機関との連携の強化を図る。その際、民間セクターへの計画的移行も視野に入れる
・類似事業については、整理統合を図る
・保育所に入所しない子どもをどう支援するかという今後の展望をきっちりと持つ
⑥人的資源の最適化を進めるしくみづくり
・業務が施策と結びついていなければ無駄。現状の業務を分析するだけではなく、そもそもその業務が施策に結びついているのかの確認が必要。
・多様な雇用形態の活用を検討する前に、そもそもその業務自体を市役所がすべきかどうか見直すべきだ
・専門的な分野など正規職員より非正規職員を活用することでより効果があがるものがあると思われる。非正規職員をより活用することを考えるべきだ
・情報共有を図ることが、事務効率向上を考える際には必須
・積み上げでものごとを検討するのではなく、望ましい姿をまず描き、そこに至るためにいつまでにどうすべきか明確にすべきだ
⑦乳幼児保育・教育の充実~幼保一体化へ向けての展開
・2013度に向けた国の動きを注視しつつ、市としても想定できることは、早期に取り組む
・待機児童については、「0」を目標に取り組みを進めるべきだ
・幼保間における類似事業の見直し・統合を検討するべきだ
・単純に民間へ移管というわけにはいかないが、民間活力の活用も検討すべきだ
⑧人材の育成と行政組織の活性化~人事制度、給与制度、研修制度のあり方
・職員数が適正かどうか見直すべきだ(正規・非正規両方)
・役職別人員構成を見直す必要がある
・給与構造を変えるロードマップが必要
・職員の意欲を導き出すために職員をどうやって評価するか、評価方法の見直し
・部分最適ではなく、チームで動けるような視点を持つ人を育てなければならない
・正規と非正規を公正な視点から役割を見直して欲しい
⑨義務教育の充実
・給食センターについて、市民の声の反映、市民に開かれた施設のあり方をもっと検討していくべきだ
・給食センターの活用について、他の施設や事業との連携、ネットワークづくりを進めるべきだ
・売り上げや収入アップの策をもっと模索していくべきだ
・委託については、すべて自己完結でなく線引きをしっかりした上で実現に向け検討を進めるべきだ
・用務員の人員体制について、年齢も上がっているので今後のも望ましい体制を検討
⑩歴史環境の保全および都市景観の保全・創造~景観形成推進における市の役割
・7つの地区にポイントを置いて、これまでの都市計画における理念を早急に政策に生かす
・産業、自然、文化、生活環境との関係が重要
・戦略的な組織づくりプロジェクトチームが必要
・コンセプトを作るときに法律を使うのか、条例を使うのか豊中にとってより良い豊中方式を確立する必要がある
・住民との統一された窓口を構築する
・景観形成をしないとどんなメリット、デメリットがあるのか説明し市民に切実感を持ってもらう必要がある
⑪保健・医療・福祉のネットワークづくり
・保健センターの広報をもっと積極的にやってほしい、その際、広報の効果を念頭に入れながら取り組んでほしい。
・健康づくり事業の連携について、どこの部局がどう責任を持つかという点を明確にしてほしい
・検診などの利用状況の目標値をどう達成するのか展望を示すとともに未受診者対策にも力を入れてほしい
・健康講座等に参加した上での効果を把握してほしい
・保健所移管に伴う新たな負担分について試算をしっかりしてほしい
⑫行政情報の提供・公開の推進、新たな市民参加・参画の推進
・新しい情報媒体を追加するだけでは経費や仕事が増える一方。成果及びコストの観点から、情報媒体の有機的な融合を図るべきだ
・情報を集めるだけでなく、政策にどう反映させるかという視点をもって、情報の内容分析を行うことが必要
・「新しい公共」、市民とのコラボレーションという視点から情報の役割を問い直すべきだ
・市民に対して発信する行政情報としては、豊中市の課題(リスク情報・マイナス情報)も必要ではないか
・広報とよなかだけでなく、双方向のしくみを検討すべきだ
・若い世代に関連する情報を積極的に発信することにより、豊中市への愛着がわき、まちづくりに関わっていくのではないか =情報提供・豊中市(梶川伸)
更新日時 2010/11/01