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豊中市立中学校の元教師が脳性まひの教え子らの句集を出版

高野洋子さん(左)と桂清子さん(右)、俳句を作った1人の伊藤

 脳性まひのある豊中市などの3人が16年かけて、5冊の句集を作った。そのうち250句が、1冊の句集本として出版された。タイトルは「句集“風”と出会う  豊中で『ともに学んだ』三人の俳人たち」。B5判162ページ。税込み1944円。
 俳句を作ったのは馬場智弘さん(56歳、刀根山3)、伊藤弘昭さん(54歳、立花町1)、兵頭早苗さん(50歳、高槻市西冠)。兵頭さんがかつて通っていた豊中市立第十三中学校元教師の桂清子さん(61歳、宮山町3)が、本として出版した。句は「汗ばみてリハビリはげむ寒の入り」、「身支度は軽やか外は春めきて」など何気ない日常の暮らしぶりや、季節の移り変わりなどを感受性豊かに表現している。
 3人は中学校を卒業後、高校に通うことができなかった。これを知った歯科医の故西山龍美さんが、診療所の一部を「学習所」として提供。3人は音楽や絵画などを学び始めた。その後、西山さんの知り合いで、俳句や水墨画などの教室を開いていた高野洋子さん(79歳、千里園1)を俳句の講師として招いたことをきっかけに、月2回俳句を学ぶようになった
 学び始めのうちは 季語が重なったり、字余りになったりしていたが、次第に旅の思い出や庭の風景など日常生活で感じたものを詠むようになった。1986年から2002年までに、約1300句作り、5冊の句集にまとめた。
 句集のタイトルにある「風」は「風は見えないけど、どのような風も受け止めてたくましく生きていけるように」と願いを込め、馬場さんの母親が名付けた。2005年に桂さんが兵頭さんに会いに行った際、句集を見せてもらい、自分だけでなく多くの人に俳句を読んでほしいと思い、2012年から出版の準備を進めた。
桂さんは「3人が過ごしてきた16年間の人生模様が俳句の中に織り成されてい る。記録で終わるのではなく、3人の俳句や思いを1人でも多くの人に知ってもらいたい」と話している。
=情報提供・豊中市(梶川伸)2015.11.16

更新日時 2015/11/16


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