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社会人落語日本一は 愛媛県の芸乃虎や志さん

優勝して名人の称号を得た芸乃虎や志さんの高座

 池田市で開かれていた第2回社会人落語日本一決定戦は24日、池田市民文化会館アゼリアホール(天神1)で予選を勝ち抜いた10人による決勝が行われた。

 大会実行委員長の倉田薫・池田市長らの挨拶に続き、午前11時50分、最初の高座が始まった。大会総括を務める桂三枝さんが「(大阪市天満の)繁昌亭でも、10人休みなしで高座が続くことはない」という中、名人の称号を賭けた決勝の高座は中入りなしで約2時間続いた。

 出場者は素人離れした巧みな話芸はもちろん、本職を別に持つ社会人落語家としての特性を生かした枕(話の導入部分)で観客を引き込み、会場は大いに盛り上がった。

 「昨年の第1回からかなりレベルが上がった」(桂三枝さん)という決勝。そのハイレベルな戦いを制し、名人の称号を得たのは愛媛県新居浜市の芸乃虎や志(本名:枝廣篤昌)さん。演目は新居浜市に日本お手玉の会本部があることにちなんで作った創作落語「お婆ちゃんのお手玉」で、童謡やお手玉、フィギュアスケートの荒川静香選手で有名になったイナバウアーなどの動きを取り入れた斬新な高座が高く評価された。

 優勝して名人の称号を手に入れたことについて「夢のようです」と語る枝廣さんは、普段は精神科医として活躍している。「診療中に落語をすることはないが、患者さんの緊張をほぐし和ませるために、落語で学んだことは役立っている」と話し、心の健康作りに笑いが重要だと続けた。桂三枝さんは「患者さんの話をよく聞かなければならない職業。聞き上手は話し上手というもので、創作落語の完成度も高く、話に淀みがなかった。もう少しお手玉のそぶりを上手にやれば、さらに素晴らしいものになる」と評した。

 2位には大阪府吹田市の浪華家勝平(本名:岡田谷勝久)さん。決勝進出者最年長、71歳の岡田さんは、6年前に大阪・千里の老人大学の落語講座に入ったのがきっかけで落語を始めた。「習字や絵の教室はどこにでもあるが、落語は珍しいと思って入った」という。決勝の演目は桂文珍さんの新作落語「老婆の休日」。ゆったりとした語り口で、老人たちが集まる病院での一コマをユーモア且つリアルに表現し、会場を大いに沸かせた。受賞について「決勝の舞台に立てただけで光栄。よい冥土の土産になりました……なーんて言いません! これからもがんばります!」と笑顔を見せた。

 3位には大阪府交野市の立の家猿之助(本名:永廣正則)さん。演目は古典落語の「手水(ちょうず)回し」。手水を長頭と勘違いした田舎の宿屋のこっけいなやり取りが面白い演目で、体全体を使ったダイナミックな高座が、観客から大きな拍手と笑いをとった。

 また、奨励賞には愛知県の微笑亭さん太(本名:横井正幸)さん、市長賞には茨城県の二松亭ちゃん平(本名:斎須博)さんが選ばれた。(礒野健一)

アゼリアホール 池田市民文化会館 社会人落語日本一決定戦 落語

更新日時 2010/10/24


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