毎月寄付1万円 北村巴さん
豊中市中桜塚に住む北村巴さんは、1988年からほぼ毎月1万円を豊中市に寄付し続けている。2009年12月に寄付金が累計200万円に達し、浅利敬一郎・豊中市長から感謝状が贈られた。北村さんは「施設や病院で心細い思いをしている高齢者に、お花でも贈る気持ちで」と思い、寄付を始めたという。
1915年生まれの95歳。静岡県沼津市に生まれ、1942年に数学教師をしていた夫の転勤を機に豊中市へ移り住んだ。37年前に夫と死別。現在は末っ子で2女の小磯章子(みちこ)さん夫婦と同居している。
北村さんの1日は新聞をくまなく読むことから始まる。難しい政治欄も、孫たちから「政治家になるわけでもないのに」とからかわれるほど読み込む。「自分の国のことですからね」と、北村さんは少し背筋を伸ばして見せた。
スポーツ観戦が好きで、野球やサッカーをこよなく愛す。特にプロ野球の阪神タイガースのファンで、シーズン中は近くに住む小学2年生のひ孫と一緒に毎夜テレビ中継を楽しんでいる。ひいきは藤川俊、秋山、上本といった若手選手で、特に藤川俊には「守備が固いところがいいの。中日の大島ほどではないけれど」と期待している。
競技かるたや俳句、囲碁、旅行など、とにかく多趣味な北村さんは95歳とは思えないほどはつらつとしている。時折ユーモアを交えて周りを笑わせる明るい人だが、話が戦時中に及ぶと表情を曇らせた。伊丹の飛行場から戦闘機が飛び立つ風景を今でも思い出すという。空襲があるたびに2人の子どもをおんぶひもで背負い、必死に逃げた。家族に戦死者は出なかった。でも「戦争は嫌ね。戦争は絶対にしてはいけない」とつぶやいた。
今夏は猛暑で外出は控えていたが、趣味のひとつである自宅の庭での花の世話は続けた。花が何よりも好きだという。理由をたずねると「花はどなたにも等しく優しいでしょう? だから」とふんわりほほ笑んだ。(早川方子)
更新日時 2010/09/20