ウズベキスタンのアワズジョン君が豊中で日本語の勉強
ウズベキスタンのアワズジョン・マフマドフ君(15)=ジョン君=が夏休みを利用して、日本語の勉強のために豊中市で生活している。豊中市刀根山5-3、小池敏朗さんが招いたもので、市立第十三中学校に体験入学している。
小池さんは国際貢献の活動をしようと考え、会社を早期退職した。2008年にドイツの病院でボランティアとして働いた。この病院は世界の紛争地帯で傷ついた人の治療をしている。患者の中にウズベキスタンの人がいて、退院して帰国した後、どんな生活をしているのかを知りたくなり、ウズベキスタンのフェルガナ県を訪ねた。
フェルガナ県リシタン町に行くと、そこには日本語学校「NORIKO学級」があった。日本人夫婦が始め、日本人ボランティアが運営している。ジョン君はそこで学んでいて、小池さんと出会った。
ジョン君の家は学校から歩いて2分ほどの場所にあり、両親と兄の4人家族。日本語学校で学んだ人の中には、沖縄大学、立命館アジア太平洋大学、筑波大学、同志社大学など、日本の大学に留学した人も多い。ジョン君も先輩から話を聞き、日本に行く夢を持っていた。それを聞いた小池さんが2013年、ジョン君を日本に招待した。小池さんからの誘いを受けたジョン君は「最初は冗談だと思ったが、本当だとわかり、夢がかなってドキドキした」と振り返る。
ジョン君は母国の夏休みを利用し、2003年は85日間、日本に滞在し、小池さんの家に住んだ。そのうちの1カ月は市立刀根山小学校に通った。
今年は6月21日に来日。23日から十三中学校に通っていて、夏休みに入る前の18日間、体験入学を続ける。勉強のほか、学校のサッカークラブに入り、練習をしている。家では、小池さんが日本語検定のための教科書などを使い、日本語を教えている。9月14日に帰国する。
日下部雅彦校長は「日本語は上手。刀根山小学校からの友だちもいて、生徒たちとも打ち解けている。地理の授業などで『ウズベキスタンではどうか』と聞くこともあり、ジョン君は“生きた教材”でもあり、生徒たちの国際交流の面からも、その存在はありがたい」と話している。
ジョン君は「日本の街はきれい。日本の人は優しい。友だちもたくさんできた」と話す。母国には海がない。「若狭にキャンプに行った時に、初めて海を見て、言葉にならないほど感動した」と語るなど、日本の生活を楽しんでいる。
ウズベキスタンはイスラム教の国だ。ジョン君もイスラム教徒で、豚肉は食べない。キャンプの際は、みんなは豚肉カレーだったが、ジョン君のために牛肉カレーを作ってくれたという。海がない国だということもあり、食べ物では海藻が苦手で、「ノリは口にくっついて嫌い」と、顔をしかめる。小池さんは1人暮らしで、食事は小池さんが作る。ジョン君は小池さんの料理の中では、焼きそばが好物だ。
ジョン君は母国に帰ると、高校1年生になる。高校を卒業すると、日本の大学に留学したいと考えている。そのためには日本語検定2級に合格する必要があるという。小池さんは「十三中に通っている間は、毎晩7時半から9時まで日本語を教えている。漢字が難しいようだが、母国でも勉強を続け、今年は日本語検定3級、来年は2級に合格し、日本の大学に留学して、日本で就職できたらいい」と期待を寄せている。(梶川伸)2014.07.15
更新日時 2014/07/15