あにまるライフ豊中と地域猫
豊中市中部の住宅街で、道路の一角には猫用のトイレが設置してある。近くには、片耳に桜の花びら形のカットが入っている猫がいる。不妊去勢手術をした印だ。飼い主のいない猫を住民が協力して世話をする「地域猫」の取り組みで、実践しているのは「あにまるライフ豊中」。主婦6人が中心メンバーとなって活動を続けている。「小さな取り組みだけれど、少しずつネットワークが広がってきた」という。
地域猫は、「えさ場やトイレを設け、掃除をする」「猫に不妊去勢手術をする」といったルールを定め、街と猫との共生を図ることが目的。1999年、横浜市磯子区が猫の飼育ガイドラインを作ったのが最初だといわれる。最近では、モデル地域を指定して活動支援する自治体が増えるなど、各地で広がりを見せている。
大阪府内では、猫好きの住民や動物愛護団体などによる自主的な活動は続けられているが、地域の理解を得るのに苦労しているところが多いようだ。あにまるライフ豊中は府内で数少ない成功例。その理由を「近隣住民の顔がよく見え、対話ができる地域だったのが幸運だった」とメンバーは分析する。
あにまるライフ豊中は2004年に「地域猫を考える会」として発足した。地域にいる猫を捕獲して不妊去勢手術を施し、元に戻す活動を続けている。生まれて間もない猫や家猫になれそうな猫は、メンバーの自宅の一室を使って保護する。離乳まで育て、健康管理を行い、飼い主を捜す。これまで500匹以上を施術し、200匹以上を新しい飼い主のもとへ送り出してきた。バザーや寄付だけでは追いつかず、自費で活動を続けているという。
あにまるライフ豊中は「最も難しいのは家族や地域の理解を得ること。今後、行政の支援が活発になることを期待したい」と話している。あにまるライフ豊中は、募金を呼び掛けている。募金口座は、ゆうちょ銀行「00960-3-079581 あにまるライフ豊中」
(進藤郁美)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」第4号(2010年9月9日)
更新日時 2010/09/09