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米寿を迎えた富田好久さん 考古学に生き、今度は写真展

「いい写真でしょ。よく撮れたと思って」。愛用のカメラを大事そうに抱えて、写真を見せる富田さん

 池田郷土史学会の会長、富田好久さんは2014年1月31日に米寿を迎え、史学会が中心になって米寿記念誌を発行し、祝った。記念誌は富田さんの足跡、著作や写真を収めている。
 「池田市内の遺跡はほとんど掘った」と、富田さんは語り出す。考古学が専門で、北摂の遺跡発掘調査にかかわり、各市の市史編纂などを手掛けてきた。
 学生時代、奈良県立橿原考古学研究所初代所長で、関西大学名誉教授の末永雅雄さんの研究室へ行ったのが考古学にどっぷり浸るきっかけだった。「末永先生の第1回目の弟子でな。何千年も前のものが土の中に埋まっとるやろ。思いもよらんもんが出てきて、びっくりする。そりゃ、やめられへんわ」と笑う。
 池田中学や渋谷高校教諭を経て、大阪青山短期大学教授を務めた。春休みや夏休みなどは学生とひたすら発掘していた。「墓ばっかり掘ったから、そのうちバチが当たるわ」とにんまり。
 定年後、熱を入れたのが写真だった。考古学での写真は、発掘したものを精密な図を描くように撮る正確さが求められた。「芸術性があったらあかんかった」。でも、今は違う。「生活感がある農村風景が好きやなあ」と、足で踏む麦の脱穀や稲刈り、餅つきの風景などが心をとらえて離さないという。「写真の中から会話が聞こえてくるように、撮らなあかんけどな」と付け加えた。
 2月26日~3月3日には、阪急池田駅改札すぐの市立ギャラリーいけだ(072-753-5454)で米寿記念写真展を開く。池田市美術展、豊中市美術展などで入選した作品など25点前後を展示する。(進藤郁美)

更新日時 2014/02/14


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