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言葉・コトバ①「我慢する」 バティ・シュレスタさん

バティさんは、多国籍カフェ・サパナ(豊中市本町3)で、月に1度ネパール料理を出す。「今は家で作るのは、普通の和食ばかりですよ」

 地域の国際化とは何だろう。地域ぐるみの英語教育や、外国人留学生との触れあいが思い浮かぶだろうか。あるいは、外国出身の人たちが地域コミュニティーに当たり前に加わることが、そうなのか。この連載では、豊中や池田で暮らす外国出身の人から「心に留めている言葉」を教えてもらい、そこから地域の国際化を考えてみたい。
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 ネパール出身のバティ・シュレスタさんが来日したのは12年前だ。ネパールで知り合った日本人の夫と結婚し、豊中へやって来た。ドラマの「おしん」でしか日本を知らず、その発展ぶりに驚いたのが、第一印象という。
 もともと人と話すのが好きなバティさんは、間もなく近くの老人介護施設のボランティアに参加する。言葉は通じないままだが、民族衣装で歌を披露すると「ありがとう」と笑顔が返ってきた。「早くもっとたくさん話したい」と日本語を勉強し、今は介護の仕事に就いている。
 心にあるのは「我慢する」という言葉だ。「日本語の我慢にぴったり合うネパール語は思い浮かばないけど、親からそう教えられてきた。怒りそうになっても、もう1度よく考えて判断するようにしている」と話す。介護の仕事はハードだが、我慢した先にかけてもらえる「ありがとう」の言葉に、次も頑張ろうと励まされるという。
 来日する後輩には、「最初の一歩をどう踏み出すかが大事」と伝える。言葉が通じないといって引きこもらず、積極的にあいさつを交わしてほしいと願う。今はネパールの女性の自立支援のため、「ダカ織り」という鮮やかな織物の販売も手伝っている。「ネパールの女性は学校に行くこともままならない。少しでも役に立ちたい」と故郷を思う。(礒野健一)
=地域密着新聞「マチゴト豊中・池田」58号(2013年12月12日)

更新日時 2013/12/10


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