学校給食の食べ残しで堆肥「とよっぴー」
豊中市は2002年4月から、学校給食の食べ残しや調理くずに、街路樹の剪(せん)定枝を混合させて堆肥「とよっぴー(豊肥)」を作っている。とよっぴーの製造はNPO法人「花と緑のネットワークとよなか」で、生ごみの有効利用と資源循環のための社会実験型プログラムとして進めている。出来上がった「とよっぴー」は有料で市民に頒布するほか、市内の農業者らに提供している。
豊中市には41の小学校がある。そのうち37校に、原田と服部にある給食センターから、毎日約2万1000食の給食が配送される。給食の約11%が食べ残しとして給食センターに戻される。調理くずを合わせて出る生ごみは、2012年度で約176トン。2002年以前は、これらの生ごみをすべてクリーンランド(豊中市原田西町)で焼却していたが、水分を多く含む生ごみは焼却に多くの時間と燃料がかかることから、生ごみを利用した堆肥プロジェクトが始まった。
食べ残しの給食は翌日、給食センターから豊中市原田中2、緑と食品のリサイクルプラザへ送られる。リサイクルプラザは、豊中市が国から借りている約5ヘクタールの緑化樹木見本園の中にある。そこで剪定枝チップと一緒に生ごみ混合機にかけられ、発酵と熟成を経て、約3カ月後、とよっぴーとなる。2012年度には176トンの生ごみと184トンの剪定枝から、120トンのとよっぴーが出来た。
とよっぴーはまず、リサイクルプラザがある緑化樹木見本園内の畑で実験的に使用される。現在はダイコン、ハクサイ、コマツナなどの冬野菜を育てる準備をしており、ビワやミカンなどの果樹にも使う。農作物の世話をするのは市民ボランティアだ。夫婦で参加している上田幾夫さんと節子さんは養護老人ホームの屋上で菜園の世話をしているという。「とよっぴーで作った野菜はお年寄りにもおいしいと好評で、やりがいがある」と2人一緒に畑を耕していた。家庭菜園をしているという笹井啓司さんも「キュウリなどは市販の3倍くらいの大きいものができる。味も濃くて癖になる」とうれしそうに話していた。
とよっぴーは給食の食材を納入している農業者にも提供されており、資源循環に役立っている。豊中市環境部の奥村義博さんは「それでも給食の食べ残しは、ご飯だけでも多い日で1日500キロになる。できるだけ残さず食べてほしい」と話している。(早川方子)
更新日時 2013/09/15