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矢吹産婦人科 音楽と香りに包まれ出産

 豊中市少路2、矢吹産婦人科クリニックに、ドーム型の分娩(ぶんべん)室がある。半円形の壁面がお産の進行に合わせて色を変え、音楽や香りが部屋を満たしていく。初めはグリーンでアロマの香りが漂い、分娩が始まるとブルーに変化する。産婦がいきみやすいよう、低音のリズムが響き、誕生の瞬間には柔らかな金色の光が降り注ぐ、といった具合だ。
 SF映画を思わせるような近未来的な空間だが、意外にも自然志向の女性に支持されている。「自然なお産をしたい」「女性の気持ちに寄り添ってほしい」との声にこたえてできたのが、この最新型分娩室なのだ。
 矢吹産婦人科の看護師長、児玉良子さんは、「ひと昔前のお産といえば、手術室のような強烈なライトの下で、が一般的でした」と話す。分娩台で産婦の体を固定する病院は今でもある。そうしたお産は病院の都合を優先したもので、「いいお産ではない」と児玉さんは考えている。
 児玉さんのいう「いいお産」は、「お母さんが、赤ちゃんを迎える準備が十分にできた状態」でのお産だ。出産は不安と痛みを伴うものだが、苦しみのあまり産婦が「お産をさせられている」と感じるのはよくない。苦しくとも「早く赤ちゃんに会いたい」となるのがいいお産だ。「いいお産はいい育児にもつながる。結局は赤ちゃんにとってもよいこと」と児玉さんは語る。
 矢吹産婦人科には10人の助産師がいて、みながクリニック内での妊婦教室などを担当している。出産前から顔見知りになっておくことで、お産の時の不安を解消させる狙いがある。児玉さんは「将来いいお産をするためにも、妊婦さんだけでなく、独身の若い人にも普段から規則正しい生活を心がけてほしい」と話す。「特に冷えは厳禁。ミニスカートはほどほどに」と付け加えた。(早川方子)

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