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ろう者サッカーの水本選手「勘に頼り目で追う」

アジアンタールは豊中市の服部緑地や高槻市などの練習場を借りて、月に2、3回集まって練習する

 ろう者の五輪、デフリンピックが2013年7月、ブルガリアで開かれる。サッカー日本代表も出場する。「この大会を目指してきたのに残念でならない」と、悔しそうな表情を浮かべるのは、日本代表候補の水本博司さん。関西で唯一のチームで、大阪で活動する「大阪アジアンタールFC」のキャプテンでもある。池田市在住の24歳。
 アジアンタールには16~38歳の15人が所属する。チームの中に代表候補が5人もいる。水本さんは21歳から代表に入り、2012年5月のアジア大会で優勝した。「こんな試合ができれば、デフリンピックでいい成績が残せる」と期待を膨らませていた。だが、7月の世界大会で、試合中に骨折し、診断は全治6カ月。最近、ようやくトレーニングを再開したばかりだと手話で伝える。
 両親と兄もろう者。デフファミリーに生まれたと明かし、「音を知らないから、音の判断ができない。補聴器を付けても、ザーザーという音があるだけ」と続ける。
 ろう者サッカーは、一般的なサッカーとほとんど違いはない。ただ、審判は笛と同時にフラッグを使う。試合中は手話やアイコンタクトでコミュニケーションを取る。「ボールや味方と敵の動きを常に目で追う。手話をしていると、1秒の遅れが失点につながる。だから選手のくせや勘に頼ることが多い」と水本さん。
 練習や合宿、海外遠征などにかかる費用のほとんどは、自腹でやりくりする。会社を休めない時もある。サッカーを続ける難しさを抱えながら、水本さんの目は2連覇がかかった2014年のアジア大会と、2017年のデフリンピックに向いているようだった。(進藤郁美)

更新日時 2013/03/13


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