このエントリーをはてなブックマークに追加

押し絵で描く鳥や花 池田市の90歳、高見さん

1941年に大阪から池田に嫁いできた。空襲では家の庭に焼夷(しょうい)弾が落ちたという。「今は好きなことができる、いい時代」

 額の中のスズメは、立体感があって今しも飛び立ちそうだ。ハイビスカスの赤い花びらは、1枚1枚陰影を見せ、より鮮やかさを増している。これらの押し絵は、池田市栄本町の高見孝(たか)さんの作品で、先日まで池田栄本町郵便局で展示されていた。

 押し絵とは、部分ごと切り出した絵を、綿とともに布で包んで板などに貼り付けて作る美術作品だ。高見さんが本格的に始めたのは25年ほど前。題材は花や鳥が多く、花びら1枚、羽根1枚から丁寧に作りこむ。「ただの四角が、簡単に見えて意外と難しい。布目が少しでもずれると、ゆがんで見えるから」と高見さん。「でも、難しいと思う部分を、何度もやり直しながら作り上げた時の達成感は、何ともいえない」と魅力を語った。

 板に貼り付けるだけでなく、孫の五月人形の衣服も押し絵で作った。20年以上前の作品だが、本絹を使ったので、全く色あせていない。

 今も月に3回、公民館の押し絵教室に通う。「もう、私が1番年上になっちゃった」と笑う高見さんは、3月で90歳になった。作品のアイデアは尽きず、月に1作品は仕上げている。(礒野健一)

更新日時 2012/06/14


関連地図情報

関連リンク