日本センチュリー交響楽団民営化1年 資金難克服に公演増とPR
日本センチュリー交響楽団(豊中市服部緑地)が2011年4月、大阪府から独立して公益財団法人になり、1年あまりが経過した。楽団長の望月正樹さんにインタビューをすると、「至上命題はスポンサー獲得」と、苦しい実情を語る。
楽団は府の出資で1989年に設立された。年間の運営費約7億円のうち約4億円は府が助成してきたが、橋下徹前知事の指示で補助金は廃止された。民営化後は、基本財産20億円を運営費に充てながら、スポンサー探しを続けている。
この1年でスポンサーになってもらえたのは、500万円が1口、100万円は5口だけ。4月になって、近畿産業信用組合が2億円の支援に名乗りを挙げたが、正式契約はこれからで、望月さんは「このままでは楽団は数年で終わる」と危機感を募らせる。
楽団は「作り上げた財産を無くすわけにはいかない」と、年10回の定期演奏会以外に、2011年度は新たに、大阪で四季ごとのコンサートを開き、神戸市、津市、福井市での公演も加えた。身近な楽団をアピールするため、JR大阪駅構内で演奏を始め、豊中市内で演奏する機会も増やすことにした。2012年度はさらに高松市、福山市にも進出するなど、11の主催演奏会に取り組む。
楽団員も個々にPR活動を始めた。トロンボーンを吹いて練り歩く人、交流の場でアンサンブルを聴いてもらう人たちもいる。望月さんは「1人ひとりの思いを強い束にまとめ、支援に見合う活動を続けていかなければ」と、気を引き締めている。(進藤郁美)
楽団は個人の寄付も募っている。1口2万円から。詳しくは日本センチュリー交響楽団06-6868-3030。ホームページはhttp://www.century-orchestra.jp/
更新日時 2012/05/10