学生災害復興ボランティア「まずActionしよう」
2011年3月11日の東日本大震災を機に、ボランティアに関心を持った人は多い。しかし、どうしたらいいかわからないもどかしさを抱えることもあった。ならば自分たちでボランティアグループを作っていまおうと、大阪大学の学生が立ち上げたのが「ACTION students' project for 3.11」だ。名前の通り、まず行動しようと、5月に「阪大生100人による東日本大震災被災地救援活動」を実施。宮城県気仙沼市の離島、大島に渡り、がれき撤去作業を行った。同時に被災者から体験談を聞き、その声を関西に届けなければならないと感じた。
大島での活動は9月、12月、2012年3月にも行われた。3月の活動では市立大島小学校の子どもたちとも交流を深めた。小学校の体育館を使って運動会を開き、関西名物のタコ焼きを作ってふるまった。菊田榮四郎校長は「仮設住宅で暮らす子どもたちには、言葉に出ずともストレスがある。学生の皆さんは年齢も近く、お兄さん、お姉さんとして大人にはできない接し方があるので、子どもたちも生き生きしていた。運動会には近所のおばあちゃんたちも参加し、皆が元気をもらった」と喜んだ。ACTION副代表の高瀬浩さんも「元気をもらったのは僕たち」と話し、双方の思いがうまく交わっていることを感じさせる。
ACTIONの活動は、2011年9月に台風12号によって大きな被害を受けた和歌山県那智勝浦町でも行われている。大島に最初に支援物資を送ったのが那智勝浦町という縁が彼らをつないだ。「東北に行かなくても、ボランティアはどこでも誰でもできる」という思いを強くした。
メンバーの1人、森川弘基さんは「震災当日はアルバイト帰りに映像を見て、どこか遠い海外のことのように感じていた」という。「現地に足を運んで状況を目の当たりにし、被災された方の話を聞くことで自分の価値観にも変化が起きた。震災と同じように感じていた、海外の戦争や凶作にも実感が伴い、なんとかしたいと思うようになった」と話す。高瀬さんは「初めはボランティアという言葉を大仰に捉えていたが、今は知り合いのおっちゃんが困っているから手伝いに行くという感覚。そういう気持ちだからこそ続けていける」と話し、「継続することが1番大切だから」と結んだ。(礒野健一)
更新日時 2012/05/09