編集長のズボラ料理(791) カリフラワーとエビとトマトのマリネ
ブロッコリーとカリフラーは、何となく似ている。色は緑と白だから、大いに違う。房はカリフラワーは固いが、ブロッコリーはそうでもない。
似ているのは形ではないか。マツタケやシイタケ、スーパーマリオブラザーズのキノコ、きのこの山、この木なんの木、がどちらも連想される。どことなく、親しみがわく。
2つは似てはいるが、ズボラ料理で使う回数は、圧倒的にブロッコリーが多い。値段の上下は当然あるが、通常は案外安いので、使いやすくもある。ブロッコリーとベーコンを使ったものだけでも▽カレーマヨネーズ和え▽ニンニクオイル炒め▽カタクリ粉を使ったお好み焼き風▽マカロニも加えたグラタンを作った。ベーコンとの組み合わせ以外のものも含めると25を超える。
それ比べ、カリフラワーは数少ない。▽ヘレかつもどき▽コーンとのニンニクオイル炒め▽梅肉マヨネーズなど、10にも満たない。
店で食べた料理を考えてみても、カリフラワーの印象は薄い。食べた記憶があまりない。大津市・琵琶湖ホテルの和食レストラン「おうみ」で、知り合いに昼ご飯をごちそうしてもらったことがる。ホテルのレストランなど、普段は縁がないので、メニューを控えておいた。その中に、カリフラワーがあった。
料理は「琵琶湖八珍」と名づけられ、▽近江牛しぐれ煮▽比叡ゆばと鱒いくら▽丁子麩酢味噌和え▽ハス田楽焼き▽海老豆▽赤蒟蒻煮▽もろこ甘露煮▽筋海老かき揚げ▽小鮎天婦羅▽イサザから揚げ▽こごみ▽朝宮抹茶塩。ご飯は▽近江茶漬け(鮒ずし、うろり、琵琶鱒塩焼き、日野菜漬け、長芋漬け)と、滋賀県や琵琶湖にちなく食べ物が少しずつ出てきたので、大喜びした。
メニューの中に、琵琶鱒昆布〆と春野菜のスモークがあった。カリフラワーは春野菜の中に潜んでいた。アスパラガス、エディブルフラワー、菜の花、レモンと一緒に。つまり、カリフラワーはコースの中のほんの一部なのだ。ほかの店でも何度も食べているはずだが、そんな性格の食材だから、全く覚えていない。
今回はないがしろにしてきたカリフラワーに誠意を見せる。カリフラワーは少し塩を加えてゆで、食べやすい大きさに切る。エビも軽い塩でゆで、大きければ半分に切る。ミニトマトは半分に切る。バージンオリーブオイル、酢、白だし、ワサビを混ぜ、具材3つを和える。
本来なら、「エビとカリフラワーとトマトのマリネ」とするところだろう。エビは主役級で、カリフラワーは脇役の食材だから。それなのに、あえてカリフラワーをトップにした。(梶川伸)2025.03.24
更新日時 2025/03/24