編集長のズボラ料理(706) 大葉チーズ
お酒を飲む時の食べ物は、「あて」なのか「つまみ」なのか、僕の場合はよく迷う。インターネットで違いを調べて、悩みの根底にあるものがわかった。
あては主に関西で使い、つまみは主に関東で使うそうだ。このことが、悩みに大きな影響を与えているのではなか。
僕の親父は転勤族で、各地を転々とした。名古屋→北九州→仙台→東京→大阪→名古屋→大阪。ここで大学を卒業し、以降は就職し、関西、四国で生活してきた。
おおまかに言うと、僕の9割は関西人間といえる。でも、僕の体と心がそれを受け入れているかいというと、そう簡単には割り切れない。
小学生時代のほとんどは東京だった。感受性の強い時期だったせいか、関東のアクセントはいまだに抜けない。言葉は関西弁に変わったが、アクセントは関東のまま。つまり、僕には関西と東東の二面性がある。だから、あてなのか、つまみなのか迷うのだ。
好きなプロ野球球団にしてもそうだ。小学生時代、周りは巨人ファンばかりだった。僕も同じ。同調圧力のせいだろうが、それが当たり前だと思っていた。
ところが関西に住んで、わかったことがある。東京における巨人のファッショ性より、関西における阪神のファッショ性の方が強力なのだ。当然のこととして、僕も同調圧力に巻き込まれていった。しかし、奥底に巨人の根が残っている。混沌とした中で、2023年は阪神の日本1を迎えてしまった。まあ、それをあてに酒が飲めたから、たいした話ではない。
ビールの場合はどうか。つまみの方がしっくりする。つまみは漢字で書けば「摘まみ」。手でつまんで食べるような簡便性のイメージがある。代表格は柿の種。ただし、ピーナツつきが王道であることを、忘れてはならない。
あて、つまみは簡単にできるものがいい。そこで、今回は大葉チーズ。誰かに教えてもらったものを、初めて作ってみた。
フライパンにとろける地図を乗せて火をつけ、ゆっくり熱する。チーズが溶けてきたら大葉を乗せ、さらに熱し、チーズの下側が茶色になってパリパリしてきたら、フライ返しですくい取って皿に盛る。
先日、遊び仲間が「例会」と称して酒を飲んだ。大葉チーズが簡単だったので、みんなに披露した。要は自慢話である。すると1人が言った。「私が教えてあげたんじゃない」
それは前回の例会の時だった、と言う。さらに、「フライパンより、レンジの方が簡単と言ったじゃない」と。(梶川伸)2024.01.02
更新日時 2024/01/02