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編集長のズボラ料理(661) はるさめの中華サラダ

上に乗せるものは好みで

 何かを加えると、ある国の味になるものがある。例えはキムチ。これを使えば、何でも韓国料理になってしまう。
 友人に韓国料理の先生がいる。在日二世だが、「韓国料理より日本料理の方がおいしい」と豪語する韓国料理の先生である。ただ、一緒に店に食べに行くと、料理を食べながら、「これにキムチで味つけをしてもいいね」が口癖だから、やはり韓国料理の先生であることは間違いない。
 居酒屋さんでも、キムチ料理はメニューによく加えてある。代表格は豚キムチ。簡単だから、家でも作る。
 イタリア料理となると、ちょっと複雑になる。韓国料理のように、キムチ一択ではないからだ。
 僕の場合、トマト、アンチョビ、バジル、オリーブオイル、モッツアレラチーズの中からいくつかをを組み合わせる。簡単にするため、できあいのアンチョビソース、バジルペーストで手間を省く。この5つは、ほぼ冷蔵庫に用意してある。時に、モッツアレラがカマンベールに変わるくらいで、しごく安定している。
 娘が時々遊びに来る。大抵は予告があるが、たまには突然、玄関のピンポーンが鳴る。いつもお腹をすかしているが、僕は全く動じない。トマトとモッツアレラとバジルペーストとオリーブオイルを使ってカプレーゼにすれば、それで娘は満足するからだ。
 弟夫婦が遊びに来ると、キャベツを炒めてアンチビソースをからめれば、それで満足した。弟の奥さんは料理好きで、アンチョビソースを土産に持って来てくれたことがある。「これをかければ、何でもイタリアン」と。それを逆手にとって、キャベツのアンチョビ炒めような簡単料理でも、文句を言わせなかった。
 僕は彼女を「何ちゃってイタリアンの先生」と持ち上げていた。彼女もまんざらではないから、アンチョビソースをどんどん使う。料理の値段を綿密に計算すると、30円になるかならないかのレベルで、決して高級イタリアンとは言えなかったが。
 では、中華にするには、何を加えればいいのか。これはゴマ油だと思うし、無難な選択と言って良い。八角も候補ではあるが、友人はそれを使っているだけで食べないから、一般性に欠ける。
 はるさめを煮る。味つけは鶏ガラスープの素、砂糖、しょうゆ。ボールにあげて、ゴマ油とラー油を加えて混ぜ、冷えてから皿に盛る。軽く塩をふったキュウリの千切り、錦糸玉子、生ハムの細切りをはるさめの上に飾る。
、弟の奥さんは残念ながら亡くなってしまった。バジルペーストも彼女から教えてもらった。なんちゃってイタリアンの師匠は偉大だった。その反面、ちゃんとしたイタリアンに縁がないのは、彼女のせいである。(梶川伸)2023.05.07

更新日時 2023/05/07


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