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クワガタ探検隊 西義史さん

オオクワガタを手にする西義史さん(左)と妻の美和さん。五月山児童文化センターの裏手にあるカブトムシふれあい広場の前で

 「子どもたちに地元密着型の理科を教えたい」。池田市で長年、小学校教員を勤め、2010年に退職した後も理科支援員として活躍する西義史さんは、そう力を込める。

 「理科が得意な子でも、足下の草花の名前は知らないし、校庭の木の名前も桜ぐらいしかわからない」。それではもったいないと、昨年支援員として赴任した池田市立呉服小学校では、校庭にある48種類の木に、能勢杉の間伐材を使って、クイズ形式の名札を付けた。「表のヒントを見て考え、裏返して答え合わせをすれば名前も覚えやすい」。別の日には児童と猪名川へ出かけ、どんな石があるかを調べた。「きれいに4種類に分かれる」。理科の話は1度始まると止まらない。

 そんな西さんが1993年、クワガタ探検隊を結成した。2009年にNPOに認証され、「日本古来の自然観は、共生、畏敬、感謝の3つ。虫たちとの触れ合いを通じ、そうした昔からの価値観を伝えたい」と話す。

 活動の中心は、五月山児童文化センターの裏手に作った「カブトムシふれあい広場」だ。そこで卵から幼虫、サナギ、成虫までを管理し、その過程を伝えている。また、イベントなどで子どもたちに幼虫を預け、里親になってもらってもいる。「最近は危険だといって山遊びも難しいが、五月山には谷もなくマムシも出ずヤブ蚊も少ない採取ポイントがある。採られる虫たちも命がけだし、どこというのは教えられないが、ヒントはいつでも教えるので知恵を絞ってみて」

 自然と虫に興味を持つ男の子だけでなく、女の子や母親にも興味を持ってもらおうと、大阪に生息するクワガタムシを主人公にした絵本も制作した。5月に出る9冊目で完結する。絵本には自然環境だけでなく、大光寺(池田市綾羽2)の白竜など、地元の伝説も盛り込んでいる。「親から子だけでなく、祖父母が孫に自分の虫取り体験などを加えて読み聞かせてくれれば」。(礒野健一)

クワガタ探検隊 五月山児童文化センター 西義史

更新日時 2011/04/28


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