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編集長のズボラ料理(279) キスの天ぷら青ノリ風味

青ノリでもアオサでも

 青ノリは磯の香りがいい。以前もズボラ料理で書いたが、四万十川の青ノリの印象が強い。僕がこれまで食べたもので気に入った上位ランキングで、堂々と第2位を占めている。
 1位は淡路島沖の沼島(ぬしま)で食べたハモのすき焼き。3位以下はコロコロ変わる。最近では秋田県・乳頭温泉の宿「鶴の湯」で食べた囲炉裏端料理がのしてきているが、上位2つは不動だ。ただし、これも以前書いたが、ズボラ料理程度の味覚での話なので、ズボラな基準ののいい加減な判断であることを付け加えておく必要がある。
 青ノリが好きだが、アオサでもいい。青ノリの方が香りは高いようだが、舌が肥えているわけはないので、両方の違いなど区別できないからだ。赤や黄色ではいけないが、緑なら許せる程度の話である。
 うちには、青ノリかアオサは常備してある。インスタントの焼きそばをつくれば、青ノリがついてはいる。しかし、それだけでは物足りないので、常備青ノリを追加する。玉子焼きにも入れる。青ノリパスタも食べる。そのことをズボラ料理に書いたことがあるので、確認すると232回目だった。ついでに読んでみると、書き出しからこのあたりまで、ほぼ同じ内容になっている。何というズボラさ、レパートリーの少なさ。
 遍路旅に行っても、高知県南国市の道の駅「風良里(ふらり)」で昼食になると、ほとんどの場合は青ノリのソバを頼む。「いつも同じものでは」と思って先日、オムレツ牛すじカレーにした。
 「なるべく地元性を」というのが、遍路旅の昼食のコンセプトになっている。では、「どこに地元性が」と思うかもしれない。実はオムレツの卵が、高知のブランド鶏の土佐ジローを使っている。とはいえ、カレーの上に乗ったオムレツになっていては、分からない。太郎なのか次郎のなのか、名札をつけてあるわけではないし。
 その点、青ノリは分かりやすい。第1、ソバに練り込んであるだけではなく、上にも乗っているから、一目瞭然である。
 スーパーで、天ぷら用に加工されているキスを売っていることがある。なぜか安いので、これを買ってくる。まず小麦粉をまぶしておいてから、天ぷらにする。小麦粉に少しコーンスターチを加え、青ノリも入れて混ぜ、衣にする。いそべ揚げと言ってもいいが、「風味」の方がおしゃれな感じがする。大した料理ではないので、名前でカムフラージをする。
 青ノリでもアオサでもいい。ただ、写真の天ぷらは、アオノリを思い切って入れすぎた感がある。こういうのを、ワルノリと言うのかもしれない。(梶川伸)2017.09.27

更新日時 2017/09/27


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