昔ながらの日本人らしさ追求 太神楽・豊来家玉之助さん
傘まわしに皿回し、短い撥(ばち)で長い撥を操る長撥など、おめでたい席や祭りの出し物として、太神楽(だいかぐら)曲芸は演じられる。豊中市豊南町西の豊来家(ほうらいや)玉之助さん(38)は、その若き継承者だ。
大学卒業後に入ったイベント会社で街頭紙芝居などをしていたが、ラッキー幸治さんに弟子入りし、太神楽の世界に足を踏み入れた。当時は師匠が太神楽の名跡・豊来家の出身であると知らず、玉之助さんが豊来家を名乗るようになったのも4、5年前からだ。
太神楽の中で玉之助さんが力を入れているのは獅子舞だ。幼稚園の時に、地元の神社で垣間見たものが印象に残っているという。仕事としてするようになった時、ある踊りの師匠から「着物を着てるけどGパンをはいてるみたい」と言われ、日本舞踊や柔術の動きを習って取り入れていった。以来、日本人本来の動きの研究と練習に余念がない。
玉之助さんは「今は体の動かし方、生活習慣などで、昔ながらの日本人らしさを持つ人が少ない」と話す。それが悪いことではないが、太神楽ではそうした日本人らしい動き、所作が1つの見どころにもなっている。「上方の太神楽は、鳴り物のラジカセのセットや口上も1人でやることが多いので、オリジナリティーあふれるものになる。太神楽の文字を見かけたら、気軽に見に来てほしい」
1月9、10日の午前11時からは池田市の阪急池田駅下ブランマルシェで獅子舞の練り歩きが行われる。しなやかさと迫力を兼ね備えた玉之助さんの獅子舞は、まさに生き物のようだ。傘回しも行われる予定で、新年らしいおめでたいイベントになりそうだ。(礒野健一)
更新日時 2010/12/16