豊中市保健所が桜塚高校で「いのちの授業」
家庭の問題や友人関係などの悩みを原因とする高校生の自殺を防ごうと、豊中市保健所は11月10日、桜塚高等学校(中桜塚4、加藤孝之校長)で、3年生357人を対象に「いのちの授業」をした。
NHKの連続テレビ小説「あさが来た」に出演していた俳優の南条好輝さんが脚本を書いた朗読劇「声のぬくもり」や、ミュージシャンによるミニライブが開催された。授業を受けた細河紗羅さんは「若い人ほど悩みを相談できる場所があることを知らないと思うので、関西いのちの電話を知ることができてよかった」と話した。
全国の自殺者数は2003年をピークに減少傾向だが、15歳の若年層の自殺者数は横ばいで、特に中・高校生の自殺は増加している。市は庁内の部局や豊中警察署、市社会福祉協議会などからなる自殺対策ネットワーク会議を設置。自殺防止の普及啓発を進めている。今回の「いのちの授業」は、市が若い世代に命の大切さを呼び掛け、自殺を防止しようと同校と共に企画した。心の悩み相談にボランティアの相談員が24時間応じる社会福祉法人「関西いのちの電話」に協力を依頼した。
いのちの授業は、いのちの電話に寄せられる電話相談を舞台にした法人の支援者による朗読劇と、大阪を拠点に活動しているミュージシャン・天然デンネンズによる命の大切さをテーマにしたミニライブからなる出前授業だった
法人の9人の支援者が朗読劇で「悩みをひとりで抱えないで」「あなたはひとりじゃない」と命を大切にしてほしいことを伝えると、生徒たちは真剣な表情で聴き入っていた。天然デンネンズは「ゆっくり君だけの道を作っていけばいい」「みんな誰かの大切な人」などの歌詞で、命の大切さを訴えた。
市保健予防課は「生涯を通じて4人に1人が心の病にかかる時代。これからの人生で困難にぶつかり、つらい気持ちになった時は、いのちの授業を思い出し、誰かに相談してもらいたい」と話した。
=情報提供・豊中市(梶川伸)2016.11.11
更新日時 2016/11/11