豊中市立第十六中学校で若冲の授業
豊中市小曽根1、西福寺が所蔵する重要文化財の襖絵・仙人掌群鶏図などで知られる江戸時代の画家、伊藤若冲の作品や技法を学ぶ授業が9月9日、豊中市立第十六中学校(北条町3、坂上澄夫校長)で行われた。
授業を受けたのは3年生122人。講師は元市立中学校校長で関西学院大学講師の能登宏之さん(箕面市桜井)。能登さんは若冲の生い立ち、金箔(きんぱく)やにかわなど作品で使用されている画材を紹介したほか、仙人掌群鶏図や老松白鳳図などの写真をスライドで見せながら、色使いなどの技法を説明した。授業を受けた高橋ひよりさんは「地元に貴重な文化財の伊藤若冲の作品があることを初めて知った。実際に仙人掌群鶏図を見に行きたい」と話していた。
若冲は正徳6(1716)年、京都で生まれた。10代から絵画を学び、40歳の時に家督を弟に譲った後は、隠居して画業に専念した。天明8(1788)年に起きた天明の大火で焼け出され、大阪に滞在していたとき交流のあった薬種問屋の吉野五運に連れられ西福寺を訪れ、仙人掌群鶏図の制作を依頼されたといわれている。
西福寺では毎年11月3日、仙人掌群鶏図を一般公開している。今年は若冲が生まれて300年になることから、能登さんは郷土の著名な人物を若い世代にも伝たい思い、授業を提案し実現した。
授業で能登さんは、初めに伊藤若冲の仙人掌群鶏図にはひよこが描かれていることや、市立アクア文化ホール(曽根東町3)の緞帳(どんちょう)に作品が描かれていることなどを説明。その後、作品をスライドで紹介。老松白鳳図で描かれる鳥の尾先がハートの形であることや胡粉(ごふん)と呼ばれる貝の粉末が使われていることなどを説明した。その後、生徒は各クラスに分かれて美術の授業で、仙人掌群鶏図の模写に色鉛筆で色付けをした。
能登さんは「自分たちが住んでいるまちに著名な人の作品あることを知り、豊中の魅力や歴史を学ぶきっかけになればうれしい」と話していた。
=情報提供・豊中市(梶川伸)2016.09.11
更新日時 2016/09/11