てがみのもじがよめて、うれしかった
わたしは 七十五さいで はじめて えんぴつを もちました。もじを かかされて、てが ふるえて、かいては けし、けしては かき、なにがなんだか わかりませんでした。あせが ゆうだちの ように でました。
なんにも わからないのに あめのひも かぜのひも、むがむちゅうでした。くろうは ひとことで いえないほど くるしみました。なんども なんども がっこうに いくのを やめよかと おもいました。いえに かえって、 なんども かばんを かべに ぶつけて ながめました。(これは だれの ためでもない。じぶんのために いこか)とおもいました。それから、あめが ふろうが あらしがふろうが まいにち がっこうに いきました。
ある日、スーパーで おにぎりを かうとき、「さけ」という もじが よめました。 じぶんで じぶんに びっくりしました。
むすめが はじめての てがみを くれました。「おかあさん、いままで しんぱいかけて ごめんなさい。すこしだけど、きもちやから おいしい もの たべて。」と よめました。いちもじも しらなかった わたしが やかんちゅうがくに きて まなんだ おかげで、じが よめた。でんわよりも てがみの もじが よめて、うれしかった。ぜにかねでは えられない おおきな たからを みに つけました。
こんげつは でんわだいが なんぼや、いうのがわかる。ガスを つかいすぎたなと、つぎは ちょっと せつやくしようかと かんがえるように なりました。
よるに、ほんを こえを だして よむのが たのしみです。カラオケを もじを みながら うたうのも たのしいです。
やかんちゅうがくは、わたしにとって とても おおきな そんざいです。
いちばん おおきな おもいでは よんちゅうやかんの うた です。はじめての おんがくの じかんに よんちゅうやかんの うたを ききました。「ノートに つづる わが じんせい」この ことばが むねに しみました。いまでも ほんとに いちばん いんしょうに のこっています。
なやんだり くやんだり、ないたり ひがんだり しながら、なかまに ささえられて、九ねんかん きました。
いまは ゆめの ようです。
わたしは もう そつぎょうですが、みなさんの ために この やかんちゅうがくは なくては なりません。つづけて ほしいです。よろしく おねがいします。
(豊中第四中学校夜間学級の生徒の作文から)
更新日時 2010/11/18