救急救命士の医療行為が拡大で、がれきの中の救急救助訓練
点滴治療など救急救命士ができる医療行為が拡大されたことから、豊中南消防署は9月19日、救急隊と救助隊との連携を強化させる狙いで、がれきの中での救急救助を想定した訓練を行った。
隊員計7人が参加した。「解体中の4階建て共同住宅が倒壊し作業員が逃げ遅れた」との想定で訓練がスタートした。救助隊ががれきの中でクラッシュシンドロームの疑いがある傷病者を発見し、救急救命士の応援を要請する流れで訓練が進んだ。
真っ暗にした部屋の中で、マットやシートなどでがれきを設定。ヘッドライトの灯りのみを頼りに救急救命士が点滴処置を行い、運搬のためブルーシートと毛布で包んで、約2時間で訓練が終了した。豊中南消防署は「訓練と同じような状況が阪神・淡路大震災では多発した。今後起こり得る地震で1人でも多くの命を救うため、拡大された医療行為をより適切に実施できるよう訓練を重ねたい」と話していた。
阪神大震災では、救出後に意識があるにもかかわらず、数時間後に死亡するクラッシュシンドローム(挫滅症候群)が多発した。当時このような症例に有効な対処法がなかったが、最近の研究でがれきなど重いもので体が長時間圧迫され、圧迫から解放されたときに壊死した筋肉から毒素が体内に広がることが原因と判明した。
そこで2014年4月に救急救命士法施行規則の一部が改正され、圧迫から解放されるまでに点滴による治療を行うことができるようになった。豊中市では、所属する救急救命士62人が今回拡大された医療行為の実施に必要な認定を受け、9月から配置されている。この訓練では、狭く暗い空間で傷病者に対し点滴を行う訓練と、傷病者を救出する訓練を同時に行うことで、拡大された処置をより効果的に現地で実施できるようにすることが目的だった。=情報提供・豊中市(梶川伸)2014.09.21
更新日時 2014/09/21