和装の素晴らしさ伝える恵子ちゃん
ピンと伸びた背筋で優しい笑みを浮かべ、「どうぞ、いらっしゃい」と家に招かれた。池田市満寿美町の小俣恵子さん(80)は、和装の美しさと楽しさを、若い世代に伝えている。
「私が嫁入りした時は、母が手縫いした服をたくさんくれました。母だけでなく、近所の皆さんからも」と話す。普段着だった和装が、今は特別な時にしか着られないことを残念がる。「和装は疲れると言う人もいますが、とんでもない。動き回ることを見越して作られているから、しっかりと着付ければ、洋服よりも断然楽ですよ」と説明する。
池田で50年以上暮らしている。亡き夫が経営していた町工場を支え、工員からは母のように慕われた。「みんな勉強熱心で、忙しかったけど楽しい時代だった。今もよく会ってますよ」。近所の行きつけの喫茶店では、常連客から「恵子ちゃん」と呼ばれる。善意で着付けを教えるだけでなく、料理を振る舞うなど、頼れる“お母さん”として親しまれている。「人と話をするのが好き。これからも若い人たちと、人生をエンジョイしていきたいね」と、可愛らしく笑った。(礒野健一)
更新日時 2014/03/13