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年賀状ボランティア3百枚 年末恒例、92歳服部さん

「黒はにじむねえ。赤や緑でにぎやかにするのがいいね」と服部さん

 今年92歳の服部千鶴子さんが、机に積まれた年賀はがきに、黙々と干支(えと)のイラストや、新年のあいさつを記していく。声をかけると、ズイッと顔を寄せ「今日だけで、これだけやるの。大変だよ」とはがきの束を指差し、神妙な表情を浮かべる。「でも、もらったらうれしいもんねえ」と目尻を下げる。
 豊中市社会福祉協議会は、市内に住む70歳以上の独居老人に宛てる年賀状を書くボランティア活動を、1985年から続けている。枚数は毎年増えており、今年は5688人に宛てて出す。
 服部さんも一人暮らしだが、知人の紹介で7年前から参加した。今年も11月中旬から、会場の豊中市すこやかプラザ(岡上の町)で筆を動かしている。服部さんは「もらったうれしさがわかるから」と、毎年約300通を担当する。
 服部さんのボランティア活動は、これだけではない。家の近くの植え込みに季節ごと花を植え、道を通る人の目を楽しませている。夏は午前4時半に起きて水やりをし、夕方にも再び水をやる。花の苗は、世話をしていることを知った友人や近所の人から譲ってもらう。「今の時期は菊ぐらい。しばらくは世話が楽だよ」と話すが、「暖かくなれば、また忙しくなるね」と、頭の中には色鮮やかな春の風景が描かれている。
 近所の会社から、駐車場の一角の管理を任され、夏にはそこで野菜を収穫し、皆にふるまう。今年は暑さが厳しく、あまりよい出来ではなかったという。
 「みーんな、好きでやってることだから、気楽なもんだ」と屈託がない。服部さんの目標は、2020年だ。「2回目の東京オリンピックの年、私は白寿。また見たいねえ」。元気な声が、周りの人を和ませる。(礒野健一)

更新日時 2013/12/11


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