このエントリーをはてなブックマークに追加

日本酒への思い「純米主義」出版 中野恵利さん

中野さんは執筆のほか、カルチャーセンターで日本酒講座を開くなど日本酒文化の普及に努めている

 日本酒の仕込みシーズンを迎えた。大阪市北区黒崎町の日本酒バー「杜氏(とうじ)屋」は、小さな蔵でこつこつ造られた純米酒のみを扱う。酒造家の話を聞き、酒を利いて選んだ1200種類を扱うと、店を経営する中野恵利さんは話す。
 中野さんは池田市に事務所を持つ。杜氏屋を始めたのは1995年。「するからにはプロでいたい」と、各地の酒蔵を訪ね歩いた。「酒造家たちの酒への愛情、酒造りに対する真摯(しんし)な姿勢」に触れたのが、のめり込むきっかけだった。
 「蔵の人に会うと、自分の心の貧しさが浮き彫りになり、恥ずかしくなる。蔵の人は、昨日よりましな自分になろうと思わせてくれる大切な人」
 2010年3月には「純米主義」(小学館)を出版した。「どんな酒造家が、どんな思いで酒を造ったのかを伝えたかった。心が見える本にしたかった」と話す。米作りから始める一貫造りの「秋鹿」(大阪府能勢町の秋鹿酒造)、見栄や競争とは無縁の杜氏が造った「石のかんばぜ」(島根県大田市温泉津=ゆのつ=町の若林酒造)など61の酒を紹介している。「酒造業は伝統文化。日本酒の文化的な部分を伝えていきたい」と笑顔だった。
 (進藤郁美)

杜氏屋 純米主義 中野恵利

更新日時 2011/11/30


関連地図情報