このエントリーをはてなブックマークに追加

蓄音機ディレクター川村輝夫さん LP版など1万枚

土蔵に収められたコレクションを前に「ちょっと改装してバーみたいなこともやってみたい」と語る川村さん。「でも、家族には『死ぬまでには処分してね』と言われてるんだよなぁ」

 SPレコードに針を乗せると、くぐもった独特の音色が、手回し蓄音機のチューリップの花のようなスピーカーから聴こえてきた。回転数が安定しないため、時々間延びしたような音になるのも、1つの味わいだろう。

 「日本でLPレコードが出だしたのは1950年代。蓄音機はSPしか再生できないから、喫茶店などで日常的にその音色を聴いていた世代は、70代以上になるね」。そう話すのは、池田市室町に住む川村輝夫さんだ。元KBS京都放送のプロデューサーとして数々の音楽番組を担当し、現在もいけだ市民文化振興財団理事を務めながら、蓄音機の鑑賞会を定期的に開くなど、音楽文化活動に取り組んでいる。

 自宅には築100年近い土蔵があり、1万枚を超すLP版やCDが収められている。「SP版は数百枚。最近は輸入された中古家具の引き出しに入れっぱなしになっていることも多い。そういう話を聞いたら、遠くても足を伸ばしちゃうね」と笑う。

 蓄音機は現在7台を所有する。「針が違うだけで音色が変わるのが面白い」。11月5日には池田文化DAYイベントの一環として、古い日本家屋を改装して営業している池田市栄本町のラーメン店「嘉づ家」で蓄音機の鑑賞会を開く。美空ひばりやエルヴィス・プレスリーらの名曲が、当時のファンが聴いていた音色でよみがえる。

 長く音楽文化に携わってきた川村さんは「池田に市民オーケストラを作りたい。各楽器のトップはプロに頼まないとまとまらないが、あとは高校の吹奏楽部の経験者や、趣味で弦楽をやっている人が集まればいける」と話し、既に演奏家の知人に話もしているという。「それを中心にして、毎週どこかでクラシックやジャズ、フォークなど、色んな音楽の演奏が聴こえてくるような街に、池田がなったら楽しいよね」(礒野健一)

川村輝夫 蓄音機

更新日時 2011/11/02


関連地図情報