ママのブラス・ぽこあぽこ 赤ちゃんをおんぶで練習
ホールの扉を開けると、華やかなファンファーレが鳴り響いた。演奏しているのは女性ばかり約40人。一見、普通の吹奏楽団だが、よく見ると何人かの背中や胸に赤ちゃんがくくりつけられている。床上で寝ている幼児もいる。練習中の大音量をものともせず眠る様子が何とも可愛らしくて、おかしい。
お母さんだけのブラスバンド「ぽこあぽこ」は、豊中市で活動する育児サークル。活動が演奏なので、子ども連れの練習は普通の光景だ。3週間に1曲仕上げるペースで練習し、年1回のコンサートで「ウルトラ大行進」など子ども向けの12~14曲を披露している。コンサート中は子どもを預けるが、やむをえない場合は背負ったまま本番に臨むこともある。7月24日に池田市民文化会館で開かれた5回目のコンサートでは約1000人が来場し、育児中の女性たちが大かっさいを送った。泣き出す人もいたという。
ぽこあぽこの副代表、藤井祐子さんと、2006年のバンド結成初期からのメンバー、上田華奈さんは泣いていた人の気持ちがよくわかるという。
「子どもを育てることは我慢すること。お母さんはよく知っていますから」
「自分のことをいつも後回しにしているお母さんたちは普通のお母さんが趣味を続け、舞台でスポットライトを浴びている姿に感動するのでは」
吹奏楽の楽器はたいてい大きくて重い。楽器を抱えた上に子どもを抱えて練習に通うのは大変だが、2人は「洗濯や掃除、食事の用意以外にもやることがあるのはうれしい。荷物が重くても雨が降っても通い続ける理由です」と笑顔を見せた。(早川方子)
更新日時 2011/09/30