見えないコストを可視化 ともに未来を作るパートナー目指す
車にかかるコストは、10年前と比べて約10%上昇している。長く続く不況の中、2000年には5.8年だった平均車齢(車を買い替えるまでの期間)は、2009年には7.5年に延びたが、10年前のコストがカーライフを充実させるものだったのに対し、今は維持管理費が中心となっている。「車に対するそうしたお金の使い方は、よく考えれば非合理的だとわかる」と話すのは、豊中市を中心に8店舗を展開する新車ディーラー・ネッツトヨタニューリー北大阪の小西敏仁取締役だ。
「車のコストには3種類ある」と小西さんは言う。1つ目は「見えやすいコスト」だ。車のローン、ガソリン代、駐車場代、メンテナンス代などがそれに当たる。2つ目は「見えにくいコスト」で、これは税金や車検代だ。そして3つ目が、故障のリスクや下取り価格の下落といった「見えないコスト」だ。
「後者2つのコストを把握できず、人生設計が狂っているお客様も多い。今の車の売り方は定価から値引きをし、お買い得感を与えていくというのが一般的。見せ掛けだけの不当な値引は、お付き合いの中でお客様を欺くことにつながる。それは不手際の前払いみたいなものだ。これからはすべてのコストを可視化してトータルで適正化する、新しい販売の形が求められている」と力を込める。
新車ディーラーは就職人気の低い業界だ。「その現状を覆したい」と話す小西さんは、ディーラーの仕事を「お客様と一緒により良い未来を作っていくこと」と位置づける。「ここはお客様のトラブルを親身になって考え、解決していくなど、人間関係の占める割合が重い業界。だからこそ『人生設計をしやすくしましょうよ』という提案ができる。お客様にそう言えるスタッフは魅力的だし、日本一の仕事になると思う」
会社は今年で創立50周年を迎えた。50年続けられた理由を社員に質問してみたところ「トヨタの看板じゃないか」という答えが多かった。しかしネッツトヨタニューリー北大阪は、全国のネッツ店の中で「1人の顧客に対する取引額が1番多い」という実績を持つ。それは即ち、顧客との信頼関係の構築が、最もうまくいっているという意味だ。
「それに気付いていない社員も多い。自分の仕事にもっと誇りを持って欲しいし、私たちもそれをしっかり伝える必要がある」と、小西さんは自戒も込めて話した。「お客様と一緒に問題を解決し、未来を考える仕事だと気付いた時、なんて素晴らしいのかと思った。みんなが自分の子供に自信を持って『うちの会社来いよ』と言えるようになりたい」(礒野健一)
更新日時 2011/10/06