本を仲立ちに育児を応援 天瀬さんが子こども文庫
豊中市永楽荘の住宅街に、自宅を開放した子ども文庫「keiおばさんの本の部屋」がある。6畳ほどの部屋に絵本、小説、漫画など1000冊以上が並べられ、子どもだけでなく、育児中の若い母親にとっても憩いの場所となっている。
「keiおばさん」こと天瀬恵子さんは、15歳から21歳の2男1女を持つ専業主婦。高校生の時に安野光雅の絵本に出会い、優しい色彩や精密なデッサンに感動して以来、絵本に親しんできた。「子どもには好きな絵本をいっぱい読んであげよう」と夢見ていたが、最初の育児で挫折感を味わうことになった。長男は絵本に全く興味を示さず、楽しいはずの絵本の時間が苦痛になった。
落ち込んでいた時、近所の家庭文庫を訪れた。ゆっくり話を聞いてもらい、絵本を何冊か選んでもらうと、不思議なことに長男はすぐに興味を示し、親子で絵本を楽しめるようになった。
「私の方が長男を受け入れていなかった。自分の思いばかりを押しつけていたことに気づきました」
4年前から月2回、自宅を開放して文念願の文庫を開いている。恐竜が好きな子、ファンタジーには夢中な子、数字に興味を持ち始めた子など、それぞれの個性に合わせて絵本を選ぶ。母親からの読書相談にも応じる。子どもより母親が多く集まることもあり、そんな時、文庫は育児サロンになる。若い母親にはベテランお母さんのアドバイスがあり、天瀬さんも自分の育児経験を語る。
文庫活動のほかにも幼稚園や小学校で定期的に読み聞かせの会を開き、4か月健診や育児サークルにも出かけていく。
「本を仲立ちにしながら、若いお母さんの子育てを応援したいんです。実家に立ち寄るような感覚で文庫に来てほしい」
みんなの居場所になることが天瀬さんの願いだ。(早川方子)
更新日時 2011/09/05